シナゴーグ(ユダヤ教会堂)で行われるイディッシュ語の授業で「ビロビジャネール・シュテルン」紙を紹介するエレナ・サラシェフスカヤ(左)。「子供たちに興味を持ってもらうことはとても重要」と話す。新聞製作の合間にこうした授業や教科書作りなど、次世代への言語継承にも取り組む=ロシア・ビロビジャン(撮影・山下和彦、共同) 駅、郵便局、道路名の表示に見慣れない文字が並んでいる。1993年、ロシア極東の炭鉱村から、進学のため100キロ離れたビロビジャンに出てきた17歳の少女エレナ・サラシェフスカヤは、驚いて目を凝らした。 ビロビジャンは、ユダヤ人国家イスラエルの建国(48年)に先立つ34年、ソ連の独裁者スターリンが設けたユダヤ自治州の州都。数百万のユダヤ人を欧州部に抱えたソ連は、祖国なき民の“故郷”として移住を促し、48年にはユダヤ人約3万人が生活していた。 91年のソ連崩壊後、大半はイスラエルなどに去