日本のキリスト教人口は約1%で、先進国では群を抜いて少ない。それは日本人が、超越性を必要としないからだろう。互いに相手が何者かわからない社会では、双方とも同じ信仰を共有していることで初めて争いを避け、商取引ができる。キリスト教の神はそういう通貨のようなものだが、昔から濃密に人間関係を共有する日本人には、外部から唯一神を押しつける必要がない。 しかし神聖ローマ帝国が崩壊し、黒死病が流行した14世紀のヨーロッパでは、何も信じるものがなくなって多くの異端が生まれ、唯一神をめぐって無数の宗教戦争が行なわれた。それは日本人には理解できないだろうが、複数の通貨が流通すると社会が混乱するので、それを統一しようとしたカトリック教会の異端審問は、ある意味で当然だった。 しかし世界を統一するのは人間(教皇)ではなく、神でなければならない――そう主張して聖書中心主義をとなえたのが、本書の主題であるヤン・フスだっ
新教出版社の創立70周年を記念する連続神学講演会の第2回が26日、日本基督教団信濃町教会(東京都新宿区)で開かれ、作家で元外務省主任分析官の佐藤優氏が講演した。佐藤氏は、「危機を超克する福音――J・L・フロマートカの受肉論に学ぶ」と題して、20世紀の激動期にナチズムとマルクス主義の狭間を生き抜いたチェコの神学者ヨゼフ・ルクル・フロマートカ(Josef Lukl Hromadka、1889~1969年)の教理的特徴を解説した。 佐藤氏がフロマートカに初めて触れたのは1980年、同志社神学部二回生のとき。ラインホールド・ニーバーやカール・バルトを読み漁っても、どうしても満足が得られない中、「佐藤君は、ロマドカ(フロマートカ)を読んだことがありますか」という、当時の指導教授だった野本真也氏(同大神学部名誉教授)の一言がきっかけだった。夏休み期間中、大学の研究室に通い、独和辞典と首っ引きでフロマー
しばらく前に出た立花隆氏と佐藤優氏の対談本の中で佐藤氏が、教養は、例えば共産主義やキリスト教という毒に染まらないための解毒剤として役に立つ… しばらく前に出た立花隆氏と佐藤優氏の対談本の中で佐藤氏が、教養は、例えば共産主義やキリスト教という毒に染まらないための解毒剤として役に立つ… ということを言われていて、印象に残りました。 私はマルクス思想やキリスト教にも、ちょっと解説本で読みかじった程度の知識しかないのですが、それでも深く知れば、おそらく深く心に刺さるような、あるいは脳みそにしっくりくるような、説得性を感じるのではないかと思います。歴史上、これだけ世界中の人々に広範囲に強力な影響力を与えてきた思想なのですから… 「毒」というのは、そういう思想のドグマというんでしょうか?それに染まりすぎて、他の思想の人間を敵とみなすようになる人もいるのでそう言ったらしいのですが、それは極端だとしても、
(1)エフェソス公会議でマリアを「テオトコス(神の母)」とする決定が行われたとき、エフェソスは町全体が歓呼の声をあげた。この町には、大昔から古代世界で「世界の7不思議」とされていた地母神アルテミスの大神殿があり、そこに超巨大な(高さ15mと伝えられる)女神像があって、拝みに遠方から集まって来る人々でにぎわっていたからだ。 この女神像は、胸に無数の乳房をつけ、豊穣と多産のシンボルとして古代世界で最も信仰を集めた女神の像だった。 新約聖書の使徒言行録によれば、パウロがエフェソスに出かけ、アルテミス神信仰をやめるべきだ、と説いたとき、ほとんど暴動まがいのことが起こり、パウロは殺されかけた。 これほど信者を集めたが、中東にキリスト教の教えが広まるにつれ、やがてアルテミス神信仰は本当に消えたかのようになる。東ローマ皇帝がキリスト教に帰依し、アルテミス信仰を禁止したせいもある。 ところが、エフェソス公
この春に「DJになる!」と宣言し、さっそく野外広場のイベントでデビュー戦が決定! 川崎駅前の広場がビアガーデンになり、そこにブースが登場。 今回の私のセットアップです! 実はこの機材でDJをやっている人はレアです。私はセットリストは80'sの洋楽に特化しています。でも古臭いレトロにならないように、音に工夫をしています。さっそく動画をご覧ください! 【動画】DJ SugarTouchデビュー@KAWASAKI(50分) 80'sの洋楽が大好きな人はマストです!! 後半は夏祭りに合わせてラテン系を選曲! ラストのJames Brownは最高ーー!!! 【動画】怒涛の5分ダイジェスト・バージョン とにかく手短に凝縮して見せてくれ!という方にはこちら。Duran DuranからFunky Town、そしてLa Bambaとかなり盛り上がっていきます! 動画を見るとわかるのですが、最初はお客さんがパ
本書はそれまでの「西側」、「東側」、「国民国家」などの国際政治の視座ではなく、文明に着目して冷戦後の世界秩序を分析する国際政治学的な研究である。その内容は、文明の概念と特徴を定義した第一部「さまざまな文明からなる世界」、非西欧文明の発展を論じている第二部「文明間のバランスのシフト」、文明における文化的秩序の発生について論じた第三部「文明の秩序の出現」、文明間の紛争や戦争について論じた第四部「文明の衝突」、そして西欧文明の復興や新時代の世界秩序について論じた第五部「文明の未来」から成り立っている。 ハンティントンはまず文化が国際政治においても重大な役割を果たしていることを指摘した。特に冷戦後において文化の多極化が進み、政治的な影響すら及ぼした。なぜなら文化とは人間が社会の中で自らのアイデンティティを定義する決定的な基盤であり、そのため利益だけでなく自らのアイデンティティのために政治を利用する
聖書には含まれていないイエス・キリストの教えが存在するとしたら、どう思うだろうか。キリスト教徒なら「そんなのは悪い冗談でしょ。聖書は聖霊の導きで書かれているのです」と答えるかもしれない。だが、聖書に含まれている、イエス・キリストの生涯を記す4つの福音書(マルコ、マタイ、ルカ、ヨハネ)以外に、本当のイエス・キリストが語った言葉を収録する別の福音書がかつて存在し、そしてそれが今の聖書に収録されている四福音書よりも真実を伝えるとしたら、どうだろうか? いや、何をもって「真実」だというのかという議論にもなるかもしれない。本書、「禁じられた福音書 ― ナグ・ハマディ文書の解明」(参照)は、その問題を本質的に扱っている。 訳本の表題「禁じられた福音書 ― ナグ・ハマディ文書の解明」は日本人に向けてよく練られている。確かに本書では、現在のキリスト教からは禁じられた、異端の福音書が議論されている。キリスト
読むスピードも読解読力も衰えがちなこのごろ、でも、読むことはいつも好き。 本があって猫がいれば、それで幸せ。 そんな八ヶ岳からの読書日記です。 中村うさぎって、ブランドお買物マニアで、ホストクラブ通いの、プチ整形を繰り返しているあの中村うさぎだよね。 佐藤優って、元外務省お役人で、鈴木宗男がらみで逮捕拘留されたあの佐藤優だよね。 そんな二人がなんと聖書について語っているというから、ちょっと驚き。 でも中村うさぎは中高とキリスト教の学校の生徒で、洗礼も受けているし、佐藤優はなんと!同志社大学、大学院で神学を勉強していたのだそうだ。 そして二人は同志社大学の先輩後輩の間柄。 これはかなり真面目な対談だ。 特に第一章ではじっくりと聖書についてやり取りしている。 二人はプロテスタントだが、中村はバプティスト派、佐藤はカルヴィン派ということで、その違いの大きさを知るいい機会だった。聖書の解釈を含めて
抗 議 書 2011年9月1日 青 沼 陽 一 郎 滝 本 太 郎 藤 田 庄 市 (50音順) 株 式 会 社 講 談 社 御中 代表取締役社長野間省伸 殿 記 貴社にあって、「A3」森達也著(集英社インターナショナル刊、2010年11月)に平成23年の講談社ノンフィクション賞を授与するとの報に接し、ここに、次のとおり抗議する。 1 オウム真理教およびその事件の重大性と特質 いわゆるオウム真理教とその事件は、1995年発覚した戦後日本における最大かつ一連の刑事事件として、果ては化学兵器まで使った無差別大量殺人事件として、また教祖の麻原彰晃こと松本智津夫死刑囚と実行犯ら弟子の関係の異様さから大きな関心を集め、その裁判も様々な分析ともども、日本国中のみならず世界的な関心事となっている。 それら内容は、過去の事件にとどまらず将来にわた
宗教は震災後の日本を救えるか 聖書を語る 作者: 佐藤優,中村うさぎ出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2011/07/15メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 29回この商品を含むブログ (15件) を見る 私は「古い夢の話」のコメントで中山さんに対して「村上春樹の『1Q84』は読んでいないので、そこに二つの月が登場するとは知りませんでした。」と書いていたのですが、今、この本を読み直してみたら『1Q84』の二つの月のことが出ていました。「古い夢の話」を書く以前に私はこの本(「聖書を語る」)を読んでいたのにそのことが頭に残っていなかったのでした。 中村 『1Q84』では月が二つ見える人と見えない人がいるよね。あれ、どう思います? 佐藤 僕はあれがこの作品の一つの鍵になるメタファーだと思うんです。その発想は、すごく仏教的なんですよ。月が二つ見えるのは天吾であり、青豆であり、おそらくは
人間と他の動物との違いは、人間は自分が生まれる前にもこの世があり、自分は死んでもこの世は続くことを知っていることだ、と何かで読んだことがある。 「死を理解するということ、それは概念化するということです」 死は事実ではない、死は概念であると、新谷尚紀『お葬式』に何やら難しいことがまず書いてあるが、読んでいくと、なるほどねということでした。 犬や猫は仲間が死んだことがわからない。 なぜかというと、仲間の死体の処理をしないから。 ニホンザルも死がわからないらしく、仲間が死んでも死体を放置する。 「死体を処理するとか、死体に対する特別な考え方、あるいは行動をとることは猿にはありません」 死んだということを知ること、死によって何らかの感情をかき立てられるのは人間だけらしい。 それと猿は、何かを指さして、他の猿が指さしたほうを見るということがないそうだ。 私の子どもが3歳ぐらいのころ、「あれを見てごら
2012年2月4日収録 佐藤優 危機神学入門 〜現下の「危機」を乗り越えるための知恵〜 ■佐藤優(さとう・まさる) 1960年埼玉県生まれ。同志社大学神学部卒業。同志社大学大学院神学研究科修了。日本の元外交官、文筆家。ロシア情報収集・分析のエキスパートとして活躍し、「戦後最強の外交官」「外務省のラスプーチン」などの異名をとる。1985年4月、ノンキャリアの専門職員として外務省入省。1988年から1995年まで在露日本大使館に勤務し、旧ソ連の政界・経済界・学界などに幅広い人脈を作る。日本帰任後の1998年には、国際情報局分析第一課主任分析官となって情報収集・分析に活躍し、橋本龍太郎首相とエリツィン大統領のクラスノヤルスク会談にもとづく2000年までの日露平和条約締結に向け交渉。2002年5月、背任容疑で逮捕。無罪を主張するが1審で有罪判決、2審で控訴棄却、2009年6月30日上告棄却。
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く