性役割と父親不在:家族システムにおける男性性という構築 「家族療法研究」誌 キーワード:ジェンダー、性役割、フェミニズム、男性、父親 要約 ふたつの思春期事例をとおして、ジェンダーという制約が家族システムと治療システムにおける父親不在に関与することと、男性に対するフェミニスト・セラピーの可能性を論じた。 これらの事例に共通した点は、IPの父親に対する否定的イメージ、母子密着、夫婦間の親密性の欠如、拡大家族との非機能的な関係などである。男性の家族におけるジェンダーという制約は、a) 家庭外の役割によって支えられた男性のアイデンティティ、b) 原家族に対する役割、c)自立性、言語的非活発性、権威性などの男性性の神話などである。 彼らのジェンダーの体験を語ることによって、非機能的なジェンダーという制約から解放されることが可能である。 はじめに 1980年代以降ジェンダー、すなわち社会・文化によっ