久しぶりに、IT業界の多重下請け構造の問題について正面から書こうと思う。9年前にこの「極言暴論」を書き始めた頃は、多重下請け構造の問題はメインテーマの1つだった。何せ、日本のIT業界がハイテク産業を偽装した非近代的な労働集約型産業にすぎないことの証左であるし、そこは人月商売の理不尽が凝縮された世界だからだ。 ただし、この件は既に書き尽くした感がある。最近では2年前に「技術者の経歴詐称」問題を取り上げたのが最後だ。この経歴詐称とは「下請けITベンダーから客先に送られる技術者の業務経歴書が全くのでたらめである」というもの。技術者本人ではなく下請けITベンダーの営業担当者らが勝手に虚偽の業務経歴をでっち上げるというひどい話で、まさに多重下請け構造が生み出したあしき慣行である。 関連記事 人月商売に巣くう下請けITベンダー技術者の経歴詐称、「見て見ぬふり」が横行するワケ この経歴詐称問題は、多重下