ミステリー作家の東野圭吾さんの新作を「いきなり文庫」とうたって、文庫版で出す試みが話題だ。単行本で数十万部を売り上げる人気作家が、最初から廉価版で出すのはなぜ? この本はスキー場を舞台にしたサスペンス小説「白銀ジャック」。実業之日本社文庫の創刊時の目玉として5日に刊行された。小説は雑誌や新聞の連載が単行本として出た後、読者は約3年後の文庫化まで待たされるのが普通だが、今回は人気作家では例外的に雑誌連載を最初から文庫化。「今一番人気のある東野さんならまず単行本で」という常識を覆した形だ。 東野さんは「超格安で楽しんでいただくため」、「(この本を読むのに)電子ツールは不要」などとPR用冊子で狙いを説明。単行本なら1700円近い定価だが、今回は680円。初版40万部で100万部を目指すという実業之日本社によると、東野さんは、高価な単行本で出すより文芸書は文庫を主流にすべきという考えを以前から持ち