「物事はポジティブに考えたほうがよい」。 読者の中にはそう思っている人が多いのではないだろうか。心理学の分野でも、「ポジティブ思考が美徳である」というのがこれまでの支配的な考え方であった。(p29) 近年、悲観主義者のなかにも、物事をネガティブに考えることで成功している適応的な悲観主義者(これを防衛的悲観主義者という)がいることがわかっている。 防衛的悲観主義とは、前にうまくいっているにもかかわらず、これから迎える状況に対して、最悪の事態を予想する認知的方略のことである。(p30) 近年、何事もポジティブに考えればうまくいく、というアドバイスがよくみられます。いえ、近年というより、これは古くからさまざまな文化に根付いてきたおまじないのようなものかもしれません。 確かに、いつも前向き、積極的で、期待に満ちている人は生き生きとして見えます。時流に乗った有名人や起業家がポジティブな発言を繰り返し