視覚、聴覚、嗅覚、触覚、味覚という五感が何らかの理由でつながって感じられる「共感覚」とうものがある。たとえば、「あ」は赤、「い」は黄、「う」は緑といったように、文字とともに色が感じられるというのだ。 長い間、こうした感覚を持ち合わせる人は極めて珍しいと考えられてきた。研究者の間でも“10万人に1人”しかいない珍しい症例であり、“芸術家や天才に多い”ともいわれてきた。しかし最新の研究は、共感覚者を特別扱いする見方を否定している。 東京大学大学院教授で心理学を教える、日本における共感覚研究の第一人者の横澤一彦さんに聞いてみた。 「研究のために共感覚者を募ったところ、これまで80名もの人が協力してくれました。そのことから考えても、共感覚者が10万人に1人と考えるのは不自然で、おそらくその割合は、100人中1人程度だと推定されます」(横澤さん。以下「」内同) 100人に1人ということは、小学校なら