押し入れから出てきた松下政経塾「入塾のしおり」(左)と、小渕恵三内閣の「21世紀日本の構想」懇談会の報告書=鈴木琢磨撮影 ごそごそ押し入れを片付けていたら、段ボール箱から1冊の古びたパンフレットが出てきた。「松下政経塾 入塾のしおり」。1982年、第3期塾生の募集要項だ。塾長は創設者で経営の神さま、松下幸之助さん。講師は作家の小松左京さん、評論家の山本七平さん、文化人類学者の梅棹忠夫さんらそうそうたる顔ぶれ、しかも研修資金まで出る。こりゃ、ええわ、私は非才を顧みず、応募した。むろん、あえなく1次で落ち、塾長面接もかなわなかった。 そのときの課題論文は「日本の現状と将来を展望し、これは問題だと思うことの解決策を述べよ」。朝鮮半島についての関心、研究がまったく足らない、と書いたように記憶する。このままではいずれゆゆしき事態を招来しかねない、とも。大阪外国語大(現大阪大)で朝鮮語を学んだからだ。