自動車は、構成部品を相互に調整して製品ごとに最適設計しないと消費者が求める性能が出ない「インテグラル」(擦り合わせ)型のアーキテクチャを持った製品である。このため、部品設計の微妙な調整を行うことのできる「擦り合わせ能力」が必要であり、トヨタをはじめとする日本の自動車メーカーはこの「擦り合わせ能力」に優れていたから、自動車産業で高い競争力を持つに至った、という説が有力である。これに対して、トヨタはむしろ、「インテグラル」的な能力とは反対の概念である「モジュラー」(組み合わせ)的な能力が高いことが競争力の源泉である、と『実践 モジュラーデザイン~時代が求めていた新しい解』で強調されている。 このモジュラー的な能力は設計と生産に分かれるが、設計にフォーカスしたものが「モジュラーデザイン」である。「モジュラーデザイン」とは、新製品を設計する際に、「将来設計する製品の全体を眺めて製造設備や用具を何種