スペインもイタリアと同様、ビスマルク式(社会保険)の医療制度からベヴァリッジ式(税)の医療制度へと転換した国である。ここでは、WHO欧州事務局のレポートやOECDのデータをもとに、スペインの医療制度から新型コロナウイルスのオーバーシュート(爆発的感染拡大)に焦点をあててみたい。 スペインでは、第二次世界大戦中の1939年に政権を樹立したF.フランコ将軍が、大戦後も国家元首の地位にとどまり、強固な中央集国家だった。しかし、1975年にフランコ将軍が死去し、1978年には憲法が改正され、議会君主制を維持しながらも17の自治州に権限が大幅に委譲する「自治州国家」となった。バスクやカタルーニャは独自の言語と歴史があり、スペインからの分離・独立を求める動きがある。日本の約1.3倍の国土で、人口は約4770万人、うち約485万人が外国人である。 地域による経済格差は大きく、EUが作成した所得地図(Eu