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ブックマーク / natgeo.nikkeibp.co.jp (21)

  • 落葉の分解にもホームとアウェーの土壌がある、東大など実証

    森林において樹木が生育する土壌に特有の微生物の集まり(微生物叢)が落葉を効率的に分解していることを東京大学などの研究グループが野外実験で実証した。森林生態系の物質循環を担う微生物叢の働きに差があることを示しており、今後の森林保全において場所ごとに特有の微生物叢を保つことが重要だとしている。 森林生態系では、地面に落ちた樹木の葉が土壌中の微生物に分解され、分解の過程でできた栄養分を根から樹木が吸い上げて成長し、茂った葉がまた落ちて微生物に分解される――という、落葉と分解を伴う物質循環が起きている。落葉の分解速度については、「温度が高い方が微生物は活発に働く」「柔らかくて栄養分豊富な葉では分解が進みやすい」など、地域の気候や落葉自体の性質によって主に決まると考えられていた。 一方で、樹木が育つ場所(ホーム)はほかの場所(アウェー)より効率的に落葉を分解するという「ホームフィールド・アドバンテー

    落葉の分解にもホームとアウェーの土壌がある、東大など実証
  • 1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」

    1カ月にわたってアルコールを断つ「ドライ・ジャニュアリー」や「ソバー・オクトーバー」に参加している多くの人が、睡眠の改善や不安の軽減を実感している。専門家によると、肝臓や腸などの臓器にもいい効果をもたらすという。(PHOTOGRAPH BY VICTORIA JONES, PA IMAGES/GETTY IMAGES) 世界中で毎年何百万人もの人たちが、1カ月間アルコールを飲まずに過ごすことを選択している――「ドライ・ジャニュアリー(断酒の1月)」として始まったこの習慣は、今では「ソバー・オクトーバー(しらふの10月)」のような同様の取り組みへと拡大している。自身の飲酒習慣に関心を持ち、あえて飲まない「ソバーキュリアス」というライフスタイルを選ぶ人の数はどうやら、着々と増えつつあるようだ。 英国では、成人の7人に1人が2023年のドライ・ジャニュアリーに参加する計画を立てていた。また米国で

    1カ月の断酒が肝臓を救う 世界で広がる「ドライ・ジャニュアリー」
  • 光合成による水の分解、「最大の疑問」をついに解明、定説覆す

    植物のタンパク質にレーザーで刺激を与え、その結果起こるプロセスをX線で捉えることによって、科学者らは光合成反応に未知の段階が存在することを発見した。画像はX線で透視したハグマノキの葉。(IMAGE BY NICK VEASEY, SCIENCE PHOTO LIBRARY) 光合成は地球の生命にとって不可欠だ。生態系の基礎をになう植物は、これによって自らの栄養を得ている。しかし、光合成がどのような仕組みで行われているのかについては、まだ正確にはわかっていない。 今回、ふたつの新たな実験によって、光合成の中でも特に難しい反応のひとつである水の分解における謎の一端が明らかになった。 水の分子が分解されると、酸素が空気中に放出される。「われわれ全員が依存している、あらゆる高等生物にとって不可欠な酸素は、まさに光合成の副産物なのです」と語るのは、米ローレンス・バークレー国立研究所の化学者で、ひとつ

    光合成による水の分解、「最大の疑問」をついに解明、定説覆す
  • ウナギとワカサギが激減した宍道湖

    魚類と呼ばれる動物は5億年前から地球に存在し、現在の世界の海や川には3万3462種もいるとされる。魚類がうまれてからの5億年の間には、すべての生物種の9割以上が絶滅した大量絶滅時代(約2億5100万年前、ペルム紀末)があり、魚類も大部分が絶滅した。 書で対象としているのは、そんな壮大な物語ではない。全魚類ではなくウナギとワカサギの2種類だけ。そのうえ世界全体ではなく日、それも島根県の宍道湖という汽水(=海水と淡水が混じった水)の湖で起こったできごとが中心だ。この湖では1993年からウナギとワカサギがまったく漁獲されなくなるくらい減ってしまった。その原因は何か? 著者は水田で使われる農薬の一種であるネオニコチノイド系殺虫剤の影響だと考えている。 宍道湖は面積79㎢の日で7番目に広い湖で、湖当たり年間漁獲量は長年、日一をキープしている。漁獲量の大部分は魚ではなくヤマトシジミという二枚貝

    ウナギとワカサギが激減した宍道湖
  • 歯周病の影響は全身に、関節リウマチとの関連で新たな発見

    歯周病を防ぐには、日常的な歯磨き、フロスの使用、口のすすぎが重要だ。歯茎の感染症が慢性的になると、免疫系との戦いが長引き、関節など全身の組織に悪影響が及ぶことになる。(PHOTOGRAPH BY REBECCA HALE, NATIONAL GEOGRAPHIC) 関節炎は何千年も前から人類を苦しめてきた。「西洋医学の父」として知られるヒポクラテスは2000年以上前に、口の感染症が関節炎に関係しているのではないかと気づき、歯を抜けば関節炎が治る可能性があると考えた。これは、ある点では正しかったようだ。(参考記事:「ネアンデルタール人が鎮痛剤、歯石分析で検出」) 歯茎が感染症にかかると、細菌が血流に入り込む。血流中の細菌は免疫系によって攻撃されるが、歯茎の感染症が慢性的になると、この戦いは長引くことになる。その結果、免疫細胞が体中を巡り、関節など口から遠く離れた場所も組織が破壊されるなどの悪

    歯周病の影響は全身に、関節リウマチとの関連で新たな発見
  • 水は1日にどれくらい人体を出入りするのか、初の計算式

    水は、私たちの体に欠かせない。ごく当たり前のことだが、体を日々出入りする量は、これまで科学的に明らかにされてはいなかったそうだ。その量を推定する計算式を、医薬基盤・健康・栄養研究所(NIBIOHN=ニビオン)などの国際研究グループが初めて開発した。体や環境のデータを基に、1日に失う水分量の目安を算出できるという。人生のさまざまな時期や災害時などに必要な量を予測できれば、健康管理に役立ちそうだ。 「重水素」手がかりに大規模調査 私たちの体のおよそ半分は水。一般的な成人男性で体の53%、成人女性で45%、乳児では60%を占めるという。この量を維持するため、私たちは飲んだり、事や呼吸をしたりして水分を取る。ここでストック、つまり体に含まれる水分の量は分かっていたが、フローである1日の出入り量は正確な把握が難しかった。従来は小規模な調査や、主観に頼るアンケートに限られてきたという。

    水は1日にどれくらい人体を出入りするのか、初の計算式
  • 第1回 組み換えと異なるもうひとつの遺伝子技術

    遺伝子を利用した交配のしくみ。品種Aに品種Bの遺伝子を組み込むケース。(画像提供:芦苅基行)(画像クリックで拡大) 生物を交配させると親の遺伝子をそれぞれ50%ずつ受け継ぐ。上記の図のように品種Aに品種Bのある遺伝子を取り込みたい場合、1回の交配では品種Aと品種Bの遺伝子が半々になるため、新品種F1に何度も品種Aを交配させていくのだが、同じ親から生まれた兄弟が顔も体質も違うように、同じ品種を交配させてもどの遺伝子を受け継ぐかは株ごとに異なる。従来の交配では、かけ合わせてできた品種に目的の遺伝子が受け継がれているかは育てて比較してみないとわからないし、それも視覚や味覚での判断になるので確実ではない。よって、優良と思われる株を広く選び何通りもの交配を行って見極めていく必要がある。 しかし遺伝子を分析すれば、苗の段階でどの株にどの遺伝子が受け継がれているかがわかるので、目的の遺伝子を受け継いだ株

    第1回 組み換えと異なるもうひとつの遺伝子技術
    tenchikometen
    tenchikometen 2020/10/08
    極端な話、遺伝子の分析技術さえあれば誰でもイネの性質を正確に判断でき、ねらった性質をもつ品種により早くたどりつける。つまり、早くて確実なのだ。
  • 新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相

    前回、致命割合について注意しなければならないことについて確認したので、今回はもう一歩進んで病原性の年齢差について。 若者は重症化しにくいとか、高齢者は重症化しやすいというのは、どの程度当なのだろうか。これについては、中国での年齢別の致命割合(CFR)が報告されている。CFRについては前回大切な議論をしたので、今回からの読者はぜひ参照のこと。 「2月11日までのデータが、中国CDC(疾病対策センター)の週報(※1)に出て、COVID-19の年齢別の致命割合(CFR)が明らかになりました。たしかに年齢とともにリスクが上がっていきます。80歳以上で確定診断がついた患者の15パーセント近くが亡くなります。一方、10代から30代までが0.2パーセント、40代が0.4パーセントでした。たしかに高齢者よりも低いですが、これも決して低いわけじゃないんです。誰でもかかるような病気で、10代、20代の若者が

    新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相
  • 新型コロナ、クラスター対策と「8割減」の本当の意味

    COVID-19をめぐって、病原ウイルスについての知見、致命割合などの病原性、再生産数Rに基づいた感染力のこと、さらに検査や検出率にまつわる話題を追ってきた。 今回は、こういったことを踏まえた上で、中澤さんの私見も交えて見解を語ってもらおう。 中澤さんが、前に「クラスター対策班の押谷さんと少し意見が違う」と言っていたのは、感染の仕方についての議論だ。 「ランダムリンクな感染と、スケールフリーな感染が混ざっているという話を前にしました。押谷さんのこれまでの発言では、SARSの時にも見られたスケールフリーな感染、つまり、一人の感染者からたくさんの二次感染者がうまれるスーパー・スプレディング・イベント(いわば、「超ばらまきイベント」)によってクラスターができて、感染が広がっていくというふうに考えてらっしゃるようです。でも、僕はスケールフリーな感染だけでなく、ランダムリンクもあって、それらの混合分

    新型コロナ、クラスター対策と「8割減」の本当の意味
  • 新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは

    それでは、COVID-19の基的な特徴を見ていく。潜伏期間や、致命割合といった、その病気の厄介さや、怖さにかかわる特徴だ。 「潜伏期をはじめ疫学的な特徴については、北海道大学の西浦博さんのチームの研究を含めていくつかの論文が出ています。まず、潜伏期の中央値は5日と長いんです(※1)。インフルエンザなら2日ですから、この長さがCOVID-19のひとつの特徴です。また、西浦さんたちのチームの別の論文(※2)の分析では、発症間隔の中央値が4日と潜伏期よりも短いことが分かりました」 ここで、えっと思う人もいると思う。潜伏期間よりも、発症間隔が短いというのはどういういうことか、と。発症間隔とは、「発症した患者から感染した次の感染者が発症するまでの期間」だから、それが潜伏期間よりも短いというのは、よくよく考えてみると、つまり、潜伏期間にある感染者からも感染が起きているということを意味する。西浦さんは

    新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは
  • 肉を半分に減らさないと地球に「破滅的被害」

    飢饉の多いエチオピアの高地で、農具と使役動物を使って小麦を刈り取る一家。(PHOTOGRAPH BY ROBIN HAMMOND, NAT GEO IMAGE COLLECTION) を取り巻く一大産業。その商品の多くは、体重を減らし、筋肉をつけ、長生きをしたい人々の需要に応えるべく生産されている。 だが、増え続ける世界の人口は2050年までに100億人に達するとみられており、その全てに料を供給するために、これからの生活はどうあるべきかといった研究が盛んに進められている。(参考記事:「90億人の 世界のの未来」) そのひとつとして、野菜を多くとり、肉、乳製品、砂糖を控えるように提案する論文が、1月16日付けの英医学雑誌「The Lancet」に発表された。「ランセット委員会」の名の下に、栄養に関する政策を研究する世界の科学者30人が3年にわたって協議し、100億人のを支える

    肉を半分に減らさないと地球に「破滅的被害」
  • 第8回 低炭水化物ダイエットと日本食のウソ?ホント?

    引き続き、今村さんの目から見た「事パターン」をめぐる健康情報について。 まずは「低炭水化物ダイエット」 「たとえば糖尿病は社会的にも問題とされる疾患ですが、それだけに着目した欧米中心のエビデンスに頼り、白米は駄目で、低炭水化物とか低糖がいいんだと推奨しがちの人が多いという印象です。そして、主張する人ごとに内容はまちまちです。ソフトドリンクや砂糖、シロップなどのことを問題にしていたり、白米のような品をダメと言う人がいたり、当に炭水化物の摂取源全部が駄目と言う人もいます。そのうえで、代わりに何をべるかというと、『栄養価の高いもの』を推奨する人がいたり、なんでもべていいよと言う人もいたり、加工品は避けたほうがいいよと言う人もいて、バラバラなんですよね。こういったばらつきは、低脂肪ダイエット、低カロリーダイエット、菜主義などについても同じで、そもそも一貫していません」 地中海ダイ

    第8回 低炭水化物ダイエットと日本食のウソ?ホント?
  • “痕跡器官”とされた脾臓の役割解明

    人間の消化器系を示すイメージ図。左上に腎臓に似た形をした紫色の脾臓がある。2009年7月に発表された研究によると、マウスを対象に調査した結果、役立たずと思われていた脾臓は、実際には損傷を受けた心臓の回復に欠かせない役割を果たしていることがわかった。 Illustration by MedicalRF.com/Visuals Unlimited 人体には虫垂や扁桃腺(へんとうせん)、余った血流路など、痕跡器官と呼ばれる臓器が存在している。進化の名残ともいえるこのような器官は、あっても無くても人体にはそれほど影響がないと考えられてきた。しかし、医療研究技術の発達に伴い、痕跡器官にも実際には懸命に働いている臓器があることがわかってきた。 痕跡器官の好例が脾臓(ひぞう)である。最新の研究によると、損傷を受けた心臓の回復に欠かせない役割を果たしていることが判明したという。脾臓は腎臓に似た形で腹部の左

    “痕跡器官”とされた脾臓の役割解明
  • 有機野菜はやはり「おいしくて健康的」、英米の研究で

    アメリカ・メリーランド州のファーマーズマーケット。地元産の野菜が並ぶ。(Photograph by Angie McPherson) 有機栽培の野菜は、農薬を使う従来の野菜に比べ、いくつかの点で栄養的にすぐれているとする研究が2014年7月、イギリスの科学雑誌『ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ニュートリション(BJN)』に掲載された。2012年に「有機野菜は従来野菜より栄養的に勝る点はない」とする研究が発表されて大きな話題となったが、実際にはむしろ有機野菜のほうが「おいしくて健康的」であることが証明されたかたちだ。 論文を発表したのは、アメリカ・ワシントン州立大学のチャールズ・ベンブルック教授とイギリスの研究者ら。同教授らは共同で343の論文を分析、従来野菜に比べ有機野菜には抗酸化物質が18~69パーセント多く含まれていると結論付けた。大まかに言うと、普段の生活で有機野菜をべるよう

    有機野菜はやはり「おいしくて健康的」、英米の研究で
  • ネコの病を探求

    文=パット・ウォルターズ 写真=マルコ・グロブ ヤロスラフ・フレグルはチェコ出身の進化生物学者。1990年、彼は自分がある原虫に感染していることを知った。通常はネコに寄生し、その体内で繁殖するトキソプラズマだ。トキソプラズマ原虫は、ネコ用トイレの砂や汚染水を介してしばしば人間に感染するが、ネコからネコに感染するときはネズミに媒介される。原虫はネズミに寄生するとその脳を“乗っ取る”。すると、ネズミはより活発になって、危険を恐れなくなり、さらに、ネコの尿の臭いに性的に惹かれるようになる。つまりネコにべられる可能性が高くなるのだ。こうした一連の知識を得たフレグルは、ある大胆な仮説を思いつく。トキソプラズマが彼の脳をも支配しているのではないかと考えたのだ。同僚たちは一笑に付したが、今では彼の直観が正しかったことがわかっている。 ――トキソプラズマに支配されていると考えたのはなぜですか? そう仮定

    ネコの病を探求
  • 第1回 農耕以前から私たちは炭水化物をたくさん食べていた

    糖質制限ダイエットが話題になっている。簡単にいえば、主である米やパンをべないことで、炭水化物に含まれる糖質の摂取を制限するというもの。糖質を摂り過ぎると血糖値が上昇して、肥満、ひいては生活習慣病を引き起こすといわれている。そのため、炭水化物を控えて肥満になるのを防ごうというのである。 そこで注目されているのが、『ナショナル ジオグラフィック日版』9月号の特集にもあるように、古代の事だ。人類が穀物を主とするようになったのは農耕文化が始まったとされる約1万年前よりも後のこと。日列島に稲作が格的に伝来したのは約2800年前だ。約200万年前にホモ属の人類が誕生し、狩りを始めてからそれまでの間は、動物や魚介類といった動物性タンパク質が中心であり、現在のさまざまな病気が起こるのは人類がほんの数千年にすぎない炭水化物の摂取に適応していないがため。だから、農耕文化以前の古代に戻せば健康に

    第1回 農耕以前から私たちは炭水化物をたくさん食べていた
    tenchikometen
    tenchikometen 2014/11/19
    糖質制限
  • 第1回 コメの生産量と同量の食品が日本で廃棄されている | ナショナルジオグラフィック日本版サイト

    スーパーマーケットで買い物をしていて、ふと思うことがある。陳列棚を埋め尽くしている商品、売れ残りはどこへ行くのだろう。 野菜、肉、魚などの生鮮品や総菜の売り場は、閉店間際になれば空きが出るところこともある。しかし、その他の棚はいつも商品が満載だ。毎日、賞味期限切れで下げられる商品の量も相当なものになるに違いない。 「農場から卓に届くまでに、品の3分の1が廃棄されている」。誌『ナショナル ジオグラフィック』11月号記事「捨てられるべ物」の1節だ。先進諸国における品ロスは、世界的な問題となっているが、日の実情を小売業から見てみよう。 「スーパー、コンビニなどをはじめとする品小売業の全体でみると、約4割弱はリサイクルに回されますが、その他6割は廃棄物として処分されています」とセカンドハーベスト・ジャパン(略称2HJ)の広報室長(取材時)、井出留美さんはいう。 2HJは日初のフー

    第1回 コメの生産量と同量の食品が日本で廃棄されている | ナショナルジオグラフィック日本版サイト
  • 第1回 えっ、アフリカで米づくり? しかも畑で?

    世界最後のフロンティア市場。 アフリカ大陸を指す言葉である。ヨーロッパ各国の植民地から独立したアフリカ諸国は、内戦に陥る国も多く、ながらく社会基盤が脆弱であった。しかし、近年は紛争の数も減り、復興の兆しが見えつつある。実際、2001年から2011年までのアフリカの実質GDP成長率は年平均で4.6%。世界の平均は3.7%であり、めざましい経済発展がうかがえる。 その背景には近海などの石油や天然ガス、レアメタルといった資源開発や、生活水準の向上による市場の拡大などがあり、欧米から中国やインドの新興国まで、世界中がアフリカを新たな投資先として注目している。これが世界最後のフロンティア市場と呼ばれる所以だ。 それは農業も同じ。アフリカには用穀物の栽培に適した未耕作地が約4億5000万ヘクタールあるという。これは世界全体の未耕作地のおよそ半分にあたる。しかも、耕作地は農業技術やインフラの整備が未発

    第1回 えっ、アフリカで米づくり? しかも畑で?
  • 第2回 なぜアフリカに米づくりを伝授するのか

    アフリカの風土に適していて生産性が高いことから、アフリカ諸国で注目されている「ネリカ」。普及に努め、「ミスターネリカ」と呼ばれる坪井さんが、この米と出会ったのはいまから20年以上も前のことだ。 JICAの専門家としてアジアで稲作の技術支援を行っていた坪井さんは、1992年に西アフリカのコートジボワールに赴任した。当時、西アフリカに日人の稲作専門家は1人もおらず、稲作普及の必要性を感じてのことだった。 「当時は稲作といえば水稲でした。援助に入る国はどこも、アフリカに水田をつくって稲作技術を教えていた。でも、灌漑設備が必要なうえ、苗床で苗を育ててから田植えと工程も多いため、アジアのように稲作文化が浸透していないアフリカで、一から教えるのは難しいことでした」 しかし、陸稲は水稲と比べると格段に収量が落ちる。そこに、革命をもたらしたのが西アフリカ・シエラレオネ出身の研究者、モンティ・ジョーンズ博

    第2回 なぜアフリカに米づくりを伝授するのか
  • シリーズ 90億人の食 食べ物と人類の進化

    旧石器時代の事「パレオダイエット」が健康に良いと、米国で話題だ。だが、狩猟採集民の暮らしから見えてきたのは、太古の生活の意外な姿だった。 文=アン・ギボンズ/写真=マチュー・パレイ 2050年には世界の人口が今より20億人増え、必要な料もその分だけ多くなる。今後数十年間に人々が何をべるかは、地球環境に大きな影響を及ぼす重要な問題だ。 発展途上国では肉と乳製品の消費が伸びている。だが単純に言えば、誰もが肉と乳製品を中心とした生活を送るようになると、穀物や果物、野菜を主にべる場合よりも、地球の資源を多く消費することになる。 旧石器時代の生活を送れば健康になれるのか およそ1万年前まで、人類は狩猟と採集、漁労で料を得ていた。農耕が始まって耕作地が広がるにつれ、狩猟採集民が使える土地は狭まり、今ではアマゾンの森林やアフリカの草原地帯、東南アジアの離島、北極圏の永久凍土地帯などに残る

    シリーズ 90億人の食 食べ物と人類の進化
    tenchikometen
    tenchikometen 2014/09/10
    糖質制限を叫ぶ人は、声高ですが。 「すべての人間が肉中心の食事に適応してきたと言いきれるだろうか。化石を調べる古人類学者も、現代の狩猟採集民を研究する人類学者も、ヒトの進化と食習慣の関係はもっと複雑だ