高度経済成長期の好景気が「一宮モーニング」を生んだ 地方発のB級グルメは、その土地の文化や歴史を背景に生まれた誕生ストーリーがあり、発祥当時の古き良き時代に思いを馳せるのも楽しみの一つである。では、名古屋はどうだろうか。味噌かつや手羽先、ひつまぶし、あんかけスパなど名古屋めしの多くは、天才的なセンスのある1人の料理人が生み出したものが大半である。 それに対し、地域自体で育まれた食文化も確実に存在する。名古屋駅から電車でわずか10分、愛知県西部に位置する一宮市には、地場産業である繊維業の発展とともに、ある食文化が生まれた。朝、コーヒーなどの飲み物を注文すると、トーストやゆで卵などが無料で付く「モーニングサービス」(以下、モーニング)であり、一宮市はその発祥の地といわれいる。市内には約620軒の喫茶店があり、週末には家族揃ってモーニングを食べる姿も珍しくはない。 ▲モーニングサービスの一例 一