母娘関係はなぜやっかいなのか。精神科医の斎藤環氏は、「母と娘」は身体的なつながりが強いため、「父と息子」よりも離れることが難しく、支配関係に陥りやすいと指摘する。自身が虐待サバイバーで、母との決別を『母を捨てる』に綴った作家・菅野久美子氏と、母娘問題の根深さを語る――。 「母を捨てる」という選択肢 【斎藤】これまでに母娘や「毒母」について書かれたさまざまな本を読んできましたが、菅野さんが書かれた『母を捨てる』は、母を捨てるまでの経過が書かれているという点で、とても稀有なケースだと感じました。立ち上げに関わられた家族代行サービスは、親に苦しみ、生きづらさを抱える当事者の助けになるはずです。 ご自身にとって母娘問題はまだ100%解決したわけではないかもしれませんが、他の当事者のためという点から見ても、すばらしい作品だと思います。 【菅野】ありがとうございます。私は母の支配に苦しんだ当事者でもあ