せせらぎで子羊が水を飲んでおりました。それを狼が見つけ理由をつけて食べてやろうって思いました。狼はいいました。 「おい、羊、おまえが流れを汚すから俺は水も飲めない、いったいどうしてくれるってんだ?」 子羊は答えました。 「しかし狼さん、わたしがいるのは貴方の下流ですよ」 狼は、しまった、と思いましたがもう後にはひけません。 「そんなことはどうでもいい、おまえは去年、おれの親父の名誉を傷つけた」 子羊は答えました。 「えー、わたしは去年、まだ産まれてもいません」 狼はまたまた、しまった、と思いましたがなおさら後にはひけません。 「まったく、へらず口の多い子羊め、おまえは黙って俺に食われれば良いのだ」 このように乱暴者に道理を尽くしても詮無きこと、っていう場合も多いものですよ。 作家がこのようにタイプしてお話をまとめると、窓から狼が覗いておりました。狼はいいました。 「あのさ。狼は羊を食べるの