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ブックマーク / yashoku.hatenablog.com (12)

  • “超遠心分離”目玉焼き 食材を“分解する”という調理アプローチ - 夜食日記

    以前のエントリーで、生果汁を遠心分離して、密度差のある「“遠心分離”アイスキャンディー」を作りました。 昔は入手困難だった世界中の材が、現在比較的手に入りやすくなることによって、材による料理の差別化が難しくなっている背景があります。そのような状況の中で、既存の材を遠心分離などを使って“分解する”というアプローチは、新たな料理開発の一つのヒントとなるでしょう。 その簡単な例を一つ、お見せしましょう。 私の研究対象である鶏卵の黄身である「卵黄」は、超遠心分離器にかけると、うわずみの「プラズマ」と沈殿の「顆粒」部分にわかれることがわかっています。 実際にやってみます。 卵を割って、 黄身と白身にわけます。 卵黄をとり包んでいる薄い膜(卵黄膜)を取り除いて、遠心用のチューブに入れます。 20℃、20,000 G(Gは遠心力)、30分の条件で遠心分離するとこのように。 底にななめの白っぽい層が

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    terazzo 2015/09/07
  • 焼き芋はどこまで甘くなるのか?―低温加熱による限界への挑戦 - 夜食日記

    スーパーの入口付近などで「焼き芋」が売られているのをよく目にしますが、今巷でちょっとした「焼き芋ブーム」なのだそうです。私も買いたいと思う時に限って、だいたい売れ切れています。 サツマイモは、「蒸し芋」よりも「石焼き芋」にした方がおいしいのは自明のこと。 石で焼いた芋が蒸した芋よりおいしく感じる要因の一つは、サツマイモ内のβ-アミラーゼという酵素がより働くことで、デンプンが分解され、麦芽糖などの甘い成分が生成するからです。 β-アミラーゼが一番活発に働く温度は約70℃であることがわかっています。石焼き芋の場合、その温度帯を長い時間かけて通り過ぎるため、酵素がより働き、甘味が増すというメカニズムです。 ここである一つの仮説が浮かびあがります。β-アミラーゼが働く低温加熱をずっと続けたらサツマイモはどうなるのか? 究極の甘さを持った焼き芋ができるんじゃないの?と。 ということで、生のサツマイモ

    焼き芋はどこまで甘くなるのか?―低温加熱による限界への挑戦 - 夜食日記
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    terazzo 2015/03/16
  • 「節約遺伝子仮説」vs.「料理仮説」 - 夜食日記

    以前読んだで、おもしろいなと思ったこと。 火の賜物―ヒトは料理で進化した 作者: リチャード・ランガム,依田卓巳 出版社/メーカー: エヌティティ出版 発売日: 2010/03/26 メディア: 単行 購入: 6人 クリック: 62回 この商品を含むブログ (17件) を見る べる人類誌―火の発見からファーストフードの蔓延まで (ハヤカワ・ノンフィクション文庫) 作者: フェリペフェルナンデス=アルメスト,Felipe Fernandez-Armesto,小田切勝子 出版社/メーカー: 早川書房 発売日: 2010/06/10 メディア: 文庫 クリック: 25回 この商品を含むブログ (12件) を見る 現代社会の「ヒトの肥満」を考える際、人類進化上のおもしろい仮説が二つあります。それは、「節約遺伝子仮説」と「料理仮説」というものです。 節約遺伝子仮説(thrifty gene h

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    terazzo 2015/01/19
  • 卵のジャーキーはなぜないのか? “エッグ・ジャーキー”の開発 - 夜食日記

    大学1年生の少人数教育の演習科目で行った、あるお試し実験から。 <イントロダクション> 「ビーフ・ジャーキーはあるのに、なぜエッグ・ジャーキーはないのか?」という卵研究者(私)の永遠の命題!?を解決するために、実際に「エッグ・ジャーキー egg jerky 1.0」を学生たちと一緒に作ってみました。 <材料と方法> 乾燥がジャーキー製造には不可欠なプロセスですが、鶏の卵の乾燥には時間がかかるので、今回は鶏卵より小さい「うずらの卵」を使用しました。 また、卵は卵白と卵黄という全く異なる性質を持つ二つの素材からなりますが、両者をともにジャーキー化するために、ゆで卵状態の以下の市販三製品をサンプルに用いました。 左から、燻製うずら卵(FamilyMart、株式会社サングリーン製)、水煮うずら卵(セブンプレミアム、キユーピー株式会社製)、煮込みうずら卵(はごろもフーズ株式会社製)。 これをノンフラ

    卵のジャーキーはなぜないのか? “エッグ・ジャーキー”の開発 - 夜食日記
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    terazzo 2014/10/10
  • アイスクリームの分子構造 〜“間隙”のおいしさ〜 - 夜食日記

    アイスクリームは年中美味しいですが、最近特においしい季節になってきました。 アイスクリームのおいしさは、なんといってもその「舌触り」が重要です。とろける「滑らかさ」は、アイスクリームに欠かせない魅力の一つです。 そのカギを握っているのが、アイスクリーム中の 空気 乳脂肪 氷結晶 の三点です。 アイスクリームの分子構造からアイスクリームのおいしさの秘密を考えてみます。まずは、空気の役割から。 アイスクリームは、原料である生クリームや砂糖を合わせた「ミックス」を凍らせて作りますが、その製造過程で空気を“巻き込んで”その体積が増えます。その空気の混入量の度合いは「オーバーラン」と呼ばれています。計算式は次のようになります。 オーバーラン(%)=[(ミックスの重量)ー(同体積のアイスクリームの重量)]÷(同体積のアイスクリームの重量)×100 例えば、容量が200 mlで、ミックスの比重が1.10

    アイスクリームの分子構造 〜“間隙”のおいしさ〜 - 夜食日記
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    terazzo 2014/06/19
    分子?
  • トウガラシの“ニセ熱さ”、ハッカの“ニセ冷たさ” - 夜食日記

    料理の温度に関係なく、材の種類によってはそれをべて熱く感じたり、冷たく感じたりするものがあります。東洋医学では、古くから体を温める“陽”の材、体を冷やす“陰”の材が知られています。 熱くさせるものといえばトウガラシで、冷たくさせるものにはハッカやミントなどが有名ですが、その作用メカニズムが次第にわかってきました。 トウガラシの辛味成分の「カプサイシン」は、舌や口腔にあるTRPV1という受容体に結合し、辛味の刺激を伝えます。このTRPV1は、カプサイシンだけでなく、熱の刺激を受容する受容体でもあります。 つまり、熱とカプサイシンという異なる刺激によって同じように体が反応します。トウガラシの刺激は熱くなくても熱く感じる応答と同じ“擬似熱さ”、“ニセ熱さ”であるといえます。 一方、トウガラシとは反対に、ハッカやミントが含まれるひんやりとする成分は「メントール」は、体の表面にある冷感受容体

    トウガラシの“ニセ熱さ”、ハッカの“ニセ冷たさ” - 夜食日記
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    terazzo 2014/02/16
    ひらめいた>感覚が10倍ぐらい敏感になった感じがします。
  • 博士の愛した寿司 「“細胞”海苔巻き」 - 夜食日記

    今週、自分の誕生日がありました。年齢は、ついに“大台”に。 当日、次のような“冊子”をプレゼントとして頂きました。 「SCIENCE-ish COOKING with YOUR WIFE」。サイエンス“風”の料理のようです。 この『経』を元に、「“細胞”の形をした海苔巻き」を作りました。 完成品はこのように。↓ 左が「動物細胞の海苔巻き」、右が「植物細胞の海苔巻き」。 知育玩具、知育菓子、ならぬ知育寿司、皆さんのご家庭でもいかがでしょうか。 また大学で、研究室の学生さんからもプレゼントと手作りケーキ、そして素敵な「たすき」を頂きました。 “代表”に選ばれて光栄です。おやじの名を汚さぬよう、これからも研究道に精進したいと思います。

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    terazzo 2013/11/03
  • 「モンドセレクション受賞!」はすごいことなのか? - 夜食日記

    先週は、日作品の米アカデミー賞ダブル受賞に日中が沸いた一週間でした。 の分野でもいろいろな賞がありますが、日で比較的名の知れているものに「モンドセレクション(Monde Selection)」とよばれる賞があります。実際、某ビール会社の看板商品が3年連続最高金賞を取ったことで、盛んにPRされている広告を見て知った方も多いことでしょう。しかし、このモンドセレクションがいったいどのような賞なのか、その内容を知っている人は実はそう多くはいないのではないでしょうか。 モンドセレクションは「のオリンピック」「のノーベル賞」と例える方もいるそうですが、実体はたいぶ違います。 まず、モンドセレクションの対象となる品が、世界中から選ばれているような印象を受けますが、実際は品メーカーがモンドセレクションの部(ベルギーの民間団体)に1製品につき1,100ユーロ(約15万円)の審査料を支払って

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    terazzo 2012/08/02
  • 「どうして海外のたまごの黄身の色は薄いんですか?」 - 夜食日記

    先日、学生と話をしていた時に、出てきた話題。 「せんせー、私、春休みにカナダに短期留学したんですけど、向こうの卵の黄身の色が薄くて驚きました。あれ、なんでですか?」 私もカナダに研究留学していたので、よくその色がわかりますが、黄色がとても“うっすーい”のです。 わたし的には、卵黄の色よりも、パック内の卵が結構な確率で割れているのがショックでした。日に帰ってきてからしばらくの間、卵を買う前に割れていないかチェックする習慣が抜けませんでしたから。 このブログでも以前「白い卵黄」の話*1をしましたが、もともと卵の色は、卵を産むニワトリが自分の体内で合成しているわけではなく、エサのなかの黄色の成分が黄身に移行して、卵黄は黄色になります。 卵黄のエサの黄色の成分は、ルテインやゼアキサンチンと呼ばれる成分で、トウモロコシやホウレンソウなどに多く入っています。 ただ、トウモロコシだけべていれば、日

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    terazzo 2012/05/17
  • おばあ曰く「福島ナンバーは来ねぇでくれって言われたんだ」 - 夜食日記

    福島の実家に帰省中、母親や「おばあ」と話して、トーンが一番暗くなったと感じたのが、風評被害の話の時でした。 母親は、「去年とれた米だって、福島県産っていうだけでもうぜんぜん売れてねんだ。福島県産はもうだめだ」と、怒りとも悲しみともわからない口調で言葉を吐き出していました。 おばあは、「他県に仮設住宅の資材を取りにいった車が、『放射能が怖えから、福島ナンバーは来ねぇでくれ』って言われたんだ。だから、群馬でわざわざ群馬ナンバーの車に乗り換えて福島に資材を運んだ。福島ナンバーやいわきナンバーの車は、どごがらも嫌われてんだ」と、私に言葉を漏らしました。 私もWebサイトで「福島県人は被害者ヅラしてる」とか「福島県の人は、こっちに来てほしくないよね」などは目にしていました。その度に、心はざわつきましたが、まあいろいろな意見があるのがネット世界と流していました。 しかし、パソコンを触ったこともない情報

    おばあ曰く「福島ナンバーは来ねぇでくれって言われたんだ」 - 夜食日記
  • 食の安全を「グラデーション信号機」で考えよう - 夜食日記

    今日、野菜などから検出される放射性物質の上限を定めた品衛生法に基づく「暫定規制値」を、厚生労働省は、問題ないと判断しました。 自治体からの規制値緩和の要望や、それとは反対の消費者団体の意見などもありましたので、このようなニュースを見ると、「有害成分の規制値って簡単に変えていいの」「そもそも規制値や基準値ってどのように決めているの」と思う方もいるでしょう。 その辺を、ちょっと考えてみます。 どうやって基準値を決めているのか 品添加物の安全性試験の例で説明します。 品添加物の安全性評価は、人では毒性試験などはもちろんできないので、マウスやラットなどの実験動物を用います。 まず、品添加物の実験動物に毒性の影響を与えなかった最大の量(最大無毒性量)を求めます。次に、この最大無毒性量に安全係数1/100をかけて、人が一日にその量以下ならばべても有害ではない量の一日摂取許容量を求めます。 一

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    terazzo 2011/04/05
  • 「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」 - 夜食日記

    日々、人に伝えるのが難しいなぁと思っていることがあります。 今日講義で、焼き肉や焼き魚のコゲに含まれる発がん物質の話をしました。どんな化合物の物質が生成していて、どんな生理的作用があってという話がメインですが、補足として、人はどのぐらい品からその発がん物質を摂取していて、実験動物で発がんするにはどのぐらいの量が必要かを具体的な数字で説明しました。 実際、焼き肉のコゲを今の100倍ぐらい毎日べても、発がんするかしないかのレベルですよと伝えたつもりですが、講義後に毎回書いてもらっている質問・コメント票には、「発がん物質→怖い」という脊髄反射的コメントがいくつかありました。 毒性と量の関係の説明は、伝わらない人には当に伝わりません。有害物質がほんのちょっとでも入っているとを聞くと、量のことは全く考えず拒絶する人が少なからずいます。とにかくリクスを避けたいという心境は分からないことはないので

    「皆さんが食べているトマトには毒が入っています」 - 夜食日記
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    terazzo 2010/11/22
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