口髭を蓄えた男がお店のカウンターの中に腰を下ろしていた。お店の中で一番どしんと構えているので、この男が店主に違いない。目の前にあるカウンターは綺麗な青だ。カウンターの上には書類と電卓が見える。整理整頓が行き届いているようだ。そして、男の後ろの壁には赤い花が活けてあった。 男は腰を落ち着けて寛いでいて、お店の雰囲気も穏やかだった。見たところ、もう商品の出荷も入荷も帳簿付けも終えてしまっているかのようだった。
メクネスの旧市街の路地もモロッコの他町の旧市街と同じように狭く、両脇にはびっちりと建物というか壁が立っている。そのため、たとえ日中であっても路地全体に日差しが差し込むことはほとんどない。歩いていると、まるで立体迷路の中を歩いているような気分になってくるのだった。ここでは日差しは部分的にしか降り注がない。 そんな路地に出来た日溜まりの中を男が歩いていた。ニット帽を被って、ジュラバを纏っている。僕からしてみると相当の厚着だけれど、このような格好で歩いている地元の人は多い。この男が特別な寒がりという訳ではないのだ。対照的に僕は同じ路地をTシャツ1枚で歩いていたから、なんだか僕の体感温度は地元の人たちの体感温度と全く異なっているような気がしてならない。今は1月だから冬の真っ最中だ。僕にとっては冬なのに薄着で歩き回れるくらいに暖かいのだけれど、地元の人にとってはこのような日でも寒いと思っているのかも
中正記念堂の入り口でウダウダとしていたら、三人の衛兵が階段を上がってくるのが見えた。衛兵交代の時間が近づいてきているのだ。 キラキラと光るヘルメットを被った衛兵が歩調を合わせて階段を上っている。リズムを取りながら、同じように腕を曲げていた。一言も発することなく、同僚が待っている記念堂の中へと向かっている。中正記念堂は中華民国の初代総統だった蒋介石を記念して建立されたものだ。ここでは一日に8回儀仗隊交代式が行われる。
目黒駅の近くの大通り沿いに銭湯がある。写真はその入口だ。のれんが掛かっているところを見ると営業しているようだ。でも、まだ夕食時間前だったので、ここを出入りする人の姿はなかった。ほとんどの人は夕飯を食べて寝る前に来るだろう。今、のれんをくぐれば、大きな湯船を独り占め出来るのかもしれない。 それにしても、西洋人はなぜ公衆浴場に入るという習慣を捨て去ってしまったのだろう。古代ローマ人はあれだけお風呂が好きだったのに、現在のヨーロッパには日本の銭湯に相当するものは存在していない。あるのは治療目的の温泉ばかりだ。 そのため、現代の西洋人は日本の銭湯やイスラム文化圏にあるハマムに異文化を感じるようだ。巨大な富と権力をもつローマ帝国だからこそ公衆浴場の運営ができたとも、キリスト教が普及した結果、男女が肌を見せ合うことが許しがたいことになってしまったともいわれるが、そもそも湯に浸かることにそれほど魅力を感
町の中心部を歩き回っていた。州都の中心部とは言っても、ここはかなりの田舎町だ。すぐに道という道を歩きつくしてしまう。そんな中心部を歩いている最中のふたりの男の子とふたりの女の子に行き会った。四人は仲良く一緒に遊んでいたのだった。好奇心旺盛の四人は僕の持ち歩いていた一眼レフに興味津々で、遊ぶのを一旦中止して僕に注視することにしたようだ。 カメラを向けると歩道にしゃがみながら思い思いの表情を見せてくれた。みな写真を撮られるのを楽しんでくれていると思っていたら、一番手前の男の子は真面目な顔でこちらを見ていた。
山手通りと目黒通りの交差点に立っていた。ここは立体交差になっている。ウロウロとやって来た僕は陸橋の上に立ち止まって、ぼんやりと山手通りを眺めていたのだった。通りの両脇には中層のマンションが建ち並んでいて、中目黒の方へ向かって真っ直ぐに伸びている。 混んでいる時もあるけれど、この時の山手通りは空いていた。自動車も思い通りにスイスイと通りを走っているように見える。ハンドルを握っている運転手も心地よいに違いない。
額に既婚の印であるシンデゥールを付けた女性がマルダにあった露天市で働いていた。脇に置いた大きな籠に大量の唐辛子が入っていて、足元に皮のついたままのニンニクが散らかっていた。女性は唐辛子とニンニクを売っていた。カメラを向けたとき、女性は籠に手を突っ込んで唐辛子を掴んだところだった。 唐辛子とニンニクの組み合わせには食べた人を元気にする力がある。暑いインドでは家庭でも唐辛子とニンニクを食べて精をつけるのが一般的で、市場だけでなく道端でニンニクや唐辛子を売っている人が多い。そのような場所では、さぞかし料理が辛いのではないかと思うものの、マルダのある西ベンガル州の食事はさほど辛くない。南アジアでは南に行けば行くほど辛くなる印象を持っている。その証拠にインドよりさらに南にあるスリランカの食事は辛くて食べるのに難儀した。
この辺りにはカメラを扱っているお店が多いようだった。カメラ街のようだ。ショーウインドウには様々なカメラ用品が展示されていて、眺めて歩くのは楽しい。旅行の最中だというのに、見ていると何か欲しくなってしまう。でも、値段は日本で買うよりもちょっと高いような気がした。 わざわざ台湾でカメラ用品を買うこともないと物欲を抑えこんで冷静になると、通りのビルに漢字で書かれた看板が沢山掲げれていることに気が付いた。さすがにブランド名はアルファベットで表記されているけれど、店名は漢字で書かれている。中国語は分からないけれど、何を扱っているお店なのかは漢字だからなんとなく分かるのだ。看板にも「器材」とか撮影用具を謳っているものが多かった。
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