書いた内容を秘匿するため、折り紙のように複雑にたたんだ「レターロッキング」と呼ばれる約300年前の手紙について、仮想現実技術とエックス線スキャナーを組み合わせて「仮想展開」することに、英ロンドン大や米マサチューセッツ工科大などの研究チームが成功した。歴史資料を破壊せずに解読する技術として、文化人類学などへの貢献が期待される。 インターネットなどのデジタル通信技術が普及する以前、手紙は重要なコミュニケーション手段だった。このうち、1830年代に封筒が大量生産されるようになるまでの数世紀の西洋では、便箋を複雑に折りたたむ「レターロッキング」という方法が用いられた。書いた内容を秘匿する封筒の役割を果たすためだ。 レターロッキングされた手紙は、簡単には開くことができない。何世紀も保管されていたものを、はさみなどで切らずに中身を確認することは困難だった。しかし、異なる文化圏や国で、さまざまな階級の人