米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する研究報告書 東京都立多摩図書館・青野正太(あおのしょうた) 2020年2月26日,OCLCと米国図書館協会(ALA)の公共図書館協会(PLA)は,米国のオピオイド危機と公共図書館の対応に関する共同研究報告書“Call to Action: Public Libraries and the Opioid Crisis”を公開した。 米国ではモルヒネなどのオピオイド系鎮痛薬の不適切使用が問題視されており,オピオイド危機(opioid crisis)はその状況を示す言葉である。2016年には,オピオイドの不適切使用により 6万4,000人近くが死亡している。トランプ米大統領は2017年に緊急事態を宣言し,“Ending America’ s Opioid Crisis”と銘打ち対策を講じている。こうした状況に,どう対処すべきかについて,十分なノウハウ
デザイン図書館というデザイン<報告> 九州大学大学院芸術工学研究院・古賀徹(こがとおる) 2019年10月21日,九州大学大学院芸術工学研究院は,九州大学芸術工学図書館と共催で,第11回デザイン基礎学セミナー「デザイン図書館というデザイン」を開催した。株式会社リ・パブリックの市川文子氏と丸善雄松堂株式会社の増井尊久氏をお招きし,海外の大学図書館に関するトレンドや事例の紹介を通して,誰もがクリエイターになり得る時代の大学図書館のありかたを考えた。 デザイン図書館というテーマの背後には,知識をめぐる考え方の大きな転換が潜んでいる。知識とは,すでに存在する情報を静かに取得したものではなく,いまや創造的活動のなかで生み出され,その創造性を支える生きたものである。 ソクラテスが「善く生きること」を目指すかぎりの認識を知と呼んだように,増井氏にとって,「クリエイティブに作る」過程のうちにあるものが知な
三角コーンが結ぶふたつのまち:小樽・渋川コラボ展示の経緯 渋川市立図書館公式Twitter中の人 2019年6月19日,「日本のまんなか」に位置する渋川市立図書館(群馬県)の広報担当は,受話器を耳に当てたまま土下座をするという器用なポーズを取っていた。見守る館員の目は点。館長の表情は蒼白。三者が息を殺して互いに身動きの取れないこの状況は,本来の意味は違うが「三すくみ」に似ていた。広報担当の電話の相手は市立小樽図書館(北海道)の館長さんである。なぜ,このような事態が発生したのか。 前日18日,渋川市立図書館は,公式Twitterでこんなツイートをした。「【悲報】 近頃,当館の安全を守る三角コーンが相次いで交通事故に遭っています。残念ながら当館の館長には,市立小樽図書館の館長さんのように,サイン付きの三角コーンを豊富にお持ちの義理の息子さんは存在しません。(略)」 三角コーンを豊富にお持ちの義
「いいね!発見 撮影会in三重県立図書館」実施報告 ●イベントの概要 三重県立図書館では,2018年2月18日(休館日)に「いいね!発見 撮影会in三重県立図書館~年1回の蔵書点検日を活用した貸切撮影会~」を今回初めて開催した。 このイベントは,三重県戦略企画部広聴広報課(以下「広聴広報課」)との連携で,県が毎月発行している『県政だより みえ』のプレゼント企画として実施した。参加を希望する人は,『県政だより みえ』と三重県データ放送「暮らしの便利帳」を見てその感想等を書き,1組3人のチームで応募する。当日は,定員の5組15人が,特別整理期間で休館中の図書館内で「「図書館に行きたい」「本を借りて読みたい」と思わせるような写真」をテーマに自由に撮影を行った。撮影した写真は後日人気投票を行い,グランプリに選ばれたチームには,図書カードをプレゼントした。 普段とは違った視点から図書館の魅力を見つけ
英Guardian紙オンライン版で、自閉症の人々が使いやすい図書館を実現するためのネットワークの活動が紹介されています。 学習障害を持つ人や自閉症の人を支援する非営利団体、Dimensionsが行った調査によれば、自閉症の人々の90%は、図書館がより自分たちにとって使いやすいものであれば、もっと図書館を利用するだろうとしていたといいます。しかし静かにし続けていることが困難であったり、予測のできない行動をとることのある自閉症を持つ人は、理解を得られず注意されたり、奇異の目で見られることがあり、そのことが図書館利用の障害となっています。 そこでDimensionsと英国の高学年の子ども及び教育図書館員協会(Association of Senior Children and Education Librarians: ASCEL)は協同で、自閉症の人が利用しやすい図書館を実現するためのネットワ
『変えたい』気持ちを形にする:総長賞と講習会“MBC” 2013年12月20日に石田唯氏(東京大学法学部研究室図書室)が作成した「図書館ひっこしらくらくキット」が業務改革総長賞を受賞した。 業務改革総長賞表彰式は,東京大学業務改革推進室により「業務改革に対する適切な評価とインセンティブを与えることによる,モチベーション向上と業務のブラッシュアップ」を目的に平成18年より実施されている。毎年,東京大学内の各学部・研究所等より推薦された業務改善案の中から「総長賞」「理事長賞」「特別賞」が選ばれ,受賞者には研修出張・自己研鑚費用の補助などの副賞が与えられる。 今回総長賞を受賞した「図書館ひっこしらくらくキット」は,石田氏が所属する法学部研究室図書室の移転作業を楽にするために作成されたアプリケーション(Microsoft ExcelのVBAで作成)で,耐震改修工事にともなう二度の移転で実際に用いら
2013年8月26日、英国等のホテルチェーンTravelodgeが、2013年版の“Travelodge books left behind index”のトップ20を紹介しています。これは、Travelodgeのホテルで宿泊客に置き去りにされる年間冊数の多い本をリストアップしたもので、これまで3年にわたって行われてきたものです。 今年トップを飾ったのは、作家のE.L.ジェームス氏によるエロティック小説シリーズ“Fifty Shades”の“Fifty Shades Freed”で、6位と10位にも同シリーズがランクインしています。なお、昨年置き去りにされた本の数は22,648冊で、電子書籍の普及にも関わらず、その前の年の21,786冊よりもやや増えているとのことです。 THE FIFTY SHADES PHENOMENON CREATES A RISE IN BRITONS READIN
福井県立図書館「覚え違いタイトル集」ができるまで 2009年8月,福井県立図書館のウェブサイトに掲載されている「覚え違いタイトル集」がインターネット上を中心に話題を集めた。「散歩する漱石」(正しくは『闊歩する漱石』),「もたれない」(正しくは『倚りかからず』)など,思わず頬が緩むような覚え違い事例が数多く紹介されたこのページには多数のソーシャルブックマークが付けられ,ニュースサイトでも紹介されるなど,多くの注目を集めた。このページについて,福井県立図書館の担当者に話を聞いた。 【ホームページでの公開のきっかけ・理由等について】 貴重な事例を職員だけで独占していてはもったいないと思い,ホームページにアップすることにしました。公開の目的は,2つあります。目的の1つ目は,直截的なものです。カウンターで職員にたずねてくださるお客様はほんの一握りで,多くのお客様は,OPACでの検索で「ない。みつから
情報発信活動インタビュー(1)「情報管理Web」STI Updates インターネット上には図書館業界の情報を積極的に収集し,継続的に発信しているひとたちがいる。彼らはどのような問題意識を持ち,どういった体制・手法で,何を感じながら日々の活動を行っているのか。インタビューを通してその裏側を探ってみたい。第一弾の今回は,科学技術振興機構(JST)情報提供部の広報普及担当主任調査員である岩村文夫さんに「『情報管理Web』STI Updates」についてお話を伺った。 ●活動の概要について教えてください。 ご存じのように,JSTは国の政策の下,研究開発に係る情報を総合的に活用するための基盤を整備し提供しています(詳細は事業の紹介「科学技術情報の流通促進」をご覧ください)。JSTでは,情報事業推進や事業計画立案などに資すると思われる国内外の情報を各自が不定期にイントラネットで紹介し,情報共有を図っ
マンガ『夜明けの図書館』の作者・埜納タオさんインタビュー 2011年10月に刊行された『夜明けの図書館』は公共図書館でのレファレンスサービスをテーマにしたマンガである。3年間の就職浪人を経て「暁月市立図書館」に採用された新米司書「ひなこ」が,利用者の様々な「知りたい」に対する手助けを通じて成長していく姿が,市役所から転属してきた同僚「大野」等の登場人物とともに描かれている。この作品について作者の埜納(ののう)タオさんにお話を伺った。 ●『夜明けの図書館』というタイトルの由来について教えてください。 図書館を舞台にしたマンガというのを明確に打ち出したかったので「図書館」というワードは必ず入れたいと考えていました。「夜明け」と付けたのは,マンガの舞台となっている架空の市の名前「暁月市」にちなんでいます。「明けない夜はない」というように,たとえ難題のレファレンスにぶつかっても,なんらかの回答を見
2011年5月23日付けのChronicle of Higher Educationに、“Gaming the Archives”という記事が掲載されています。記事では、大学図書館等の多くの機関において、所蔵しているアーカイブズ資料へのメタデータ付与が資金とマンパワーの関係から難しいとされていることを踏まえ、そのメタデータ付与の作業をゲームにして公開することで、図書館員以外の協力を得て行おうとする取組み“MetaData Games”を紹介しています。この“MetaData Games”を開発したのは、米国・ダートマス大学でデジタル人文学を教えるMary Flaganan氏と同大学のアーキビストPeter Carini氏らとのことです。ゲームでは、一人用あるいは二人用プレイが可能で、それぞれ画面に表示されるデジタル化された写真資料に対してタグをつけるようになっているようです。大学のアーカイ
国立国会図書館は、2010年6月30日に、ウェブ版の国立国会図書館件名標目表(Web NDLSH)および国立国会図書館件名作業指針を公開しました。Web NDLSHは、主題語彙を扱うのに適したSKOS(Simple Knowledge Organization System)のモデルを活用したRDF/XML形式を採用しています。Web NDLSHの特徴は次のような点です。 ・各NDLSHデータに対してURIを付与しており、外部からのNDLSHデータへのURI参照が可能です。 ・APIの一種であるクエリ言語のSPARQLを使用することで、外部システムから検索できます。 ・標目語や参照語からだけではなく、NDLC、NDCからも検索できます。 ・PDF版より収録範囲を拡張し、細目付き普通件名も提供します。 ・他の件名標目表やWebサービス上の語彙との関連を示しています。 ・多様な形式でのデータの
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