疫病が流行しているのでよぶんな外出を控えるようにという通達が出された。それ以来ずっとがまんしていたことがある。海外旅行である。 このたびそれを解禁した。三日ばかり台北で遊んできただけなのだが、それでもなにかこう、生き返るような心地である。 海外旅行好きには二種類あるように思われる。たとえばリゾート島で心ゆくまで休むとか、本場のテーマパークを堪能するとか、日本には巡回しない美術や建築物や自然を鑑賞するとか、そういうのを求める人々である。目的がある旅行、とでもいいましょうか。私も目的を定めて旅行することはある。 でも私にとってそういうのはおまけだ。時代を象徴する名画より、完璧なリゾートより、ただ「いつもとちがうところ」であることが重要なのである。その「ちがう度」が高いというだけで海外が大好きなのだ。ふだんはつましい生活をし、一週間の休みがあればどこかの大陸に行く。「くさくさするなあ」と思ったら