兵庫県議会本会議場の知事席。7月の選挙戦後、誰がこの席に座るのか=神戸市中央区で2021年3月24日午後4時5分、藤顕一郎撮影 20年ぶりにトップが交代する兵庫県知事選(7月1日告示、同18日投開票)を巡り、県内の自民党が揺れている。全国でも類をみない60年近く続く継承の形に異を唱えた一部県議がたもとを分かち、別々の候補者を担いだ。その一方の候補者を日本維新の会が推薦し、相乗りの展開になっている。「吉村寝ろ」「井戸起きろ」。ネット交流サービス(SNS)で飛び交った新型コロナウイルスへの対応を巡る大阪と兵庫の知事への言葉が、長年にわたり形成してきた知事与党の分裂を加速させた。一枚岩になりきれなかった自民の水面下で繰り広げられた動きを追った。 「東大卒の官僚出身、副知事経験者」 2020年12月、戦後最長の県政5期を担った井戸敏三知事(75)が退任を表明すると、44人の自民党県議団(当時。その