コモンウェルス(上)―<帝国>を超える革命論 (NHKブックス No.1199) 著者:アントニオ・ネグリ マイケル・ハート 販売元:NHK出版 (2012-12-22) ★★☆☆☆ 著者の<帝国>は、9・11の直前に出版されてその後の世界史を予言した本として、世界的なベストセラーになったが、その続編『マルチチュード』は同じ著者が書いたとは思えないほどの駄作だった。本書の内容はこの続編の繰り返しで、前著を読んだ人が読む価値はない。 本書が新たに提起しているのは、資本主義に対抗する<共>(the common)の概念だが、これ自体はマルクスも言っていた話だ。「社会的生産と私的所有の矛盾が資本主義を破壊する」というのは『資本論』でも予告していたストーリーで、その矛盾が今日ではインターネットやオープンソースで顕在化している、という話も今や陳腐といってもいい。 「知的財産権」という概念は名辞矛盾で
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