特殊詐欺が大きな社会問題となっている。裏で糸をひく首謀者らが逮捕に至ることは稀である一方、末端の受け子たちの逮捕は珍しくない。 一審、二審ともに有罪判決(詐欺罪)を下され、無罪を争って上告中の女性被告人(43)がいる。うつ病で働けず、借金返済のためにTwitterで「在宅ワーク」と検索した女性は、「つらい時はいつでも電話して」など自身の病気にも親身になって寄り添ってくれる電話の相手男性を信じ、特殊詐欺の受け子となってしまった。 女性はなぜ、どのように特殊詐欺の受け子となったのか。話を聞くと、社会に馴染めない人の孤独や弱みにつけ込み、それを巧みに利用する手口が浮き彫りになった。(ライター・高橋ユキ) ●うつ病、別居、借金、引きこもり、夜の仕事 2月上旬、都内の弁護士事務所で筆者のインタビューに応じた被告人(43)は、時に言葉をつまらせながら、事件に至るまでを話してくれた。 首都圏で生まれ育っ