貧困によるストレスが脳の発達を阻害したり、健康リスクを増大させたりするといった事実はよく知られているが、こうした影響が何世代かにわたり遺伝する可能性があることが近年の科学研究によって明らかになってきた。 極貧生活から年収70万ドルの富豪にのし上がった筆者が、最新の研究事例を引きながら、貧困という「病」の原因と治療法を模索する。 極貧の子供時代からいかにして成り上がったか 私がどんなに貧しくひもじい子供時代を過ごしたか、いまの姿からは誰も想像できないだろう。 私は、ウォール街のトレーダーとしてキャリアを積み、現在は国防研究組織「トルーマン・ナショナル・セキュリティ・プロジェクト」のフェローを務めるほか、米シンクタンク「外交問題評議会」の一員でもある。最近、金融リスクマネジメントに関する著書を出版したばかりで、年収は70万ドル(約7700万円)を超えた。 だが、依然として私は満たされず、未来へ