生活保護の受給者約210万人のうち、65歳以上の高齢者は約100万人で半分近くを占める。高齢受給者の比率は1980年代までは20%台だったが、それ以降徐々に上昇してきた。今や生活保護は、その半分ほどが高齢者の生活保障のために使われている。 生活保護受給者の人口に占める比率を保護率という。高齢者の保護率は90年代半ばまで順調に低下してきた。「国民皆年金」の下で公的年金の仕組みが整備され、高齢者の所得保障機能を強めてきたためだ。その後、高齢者の保護率は上昇に転じ、95年の1.6%から2015年には2.9%にまで高まっている。長期不況の影響もあるが、公的年金による所得保障では対応しきれない貧困化が高齢者の中で進みつつあるようだ。 日本の単身高齢者の貧困率は、国際的にみても最も高いグループに属している。高齢者の貧困問題が悪化傾向にある現実は看過できない。 ◆◆◆ 今後についてはどうか。社会保障給付