本研究は、日本企業の大規模なパネルデータ(2006年~2014年)を使用し、企業のIT投資の導入・拡大要因および全要素生産性(TFP)に与える影響を実証的に分析するものである。 外国企業による経営参加が最新の技術、経営手法の導入につながることが多くの既存研究において指摘されていることから、ITを活用した経営管理手法の導入の代理変数として外資系比率を使用した。他のさまざまな要因をコントロールしても外資比率が高いことが、ITの導入および拡大とプラスの関係にある結果が得られた。加えてIT導入および拡大の両者において同一産業におけるIT投資がプラスの影響を与えることが判明した。以上のことからITの導入や拡大に関して、外資系企業や同一産業における他企業のIT導入といったITを活用した経営管理手法のスピルオーバー効果がIT投資の拡大に重要な役割を果たすものと推察される。 次にIT投資がTFPおよびTF