6月14日に開幕したサッカー・ワールドカップ(W杯)ロシア大会。スタジアムでは開催地や各国のサポーターによる応援スタイルの違いも見ものだ。8年前の南アフリカ大会では、細長いラッパのような「民族楽器」ブブゼラから発せられる重低音が、スタジアムに響き渡るだけでなく、テレビ中継を通じて世界中のお茶の間にまで広がった。時に「騒音」とまで呼ばれ、世界的な知名度を得たブブゼラ。だが今、南アフリカでは、あの楽器の人気はすっかりすたれているという。ブブゼラにいったい何が起きたのか? 4月、国内随一の人気を誇るカイザー・チーフスの試合が、首都ヨハネスブルクのFNBスタジアムであった。だが、ブブゼラを持っている観客は1割にも満たない。チームのユニホームに身を包んだサポーターたちは、歌や踊りで選手たちを鼓舞していた。 ブブゼラを吹き鳴らして応援していた男性サポーターに話しかけると、「ブブゼラはチームに力を与えて