これまで25以上の言語を学んだ経験を回顧した『語学の天才まで1億光年』(集英社インターナショナル/2022年9月)が各所で話題を呼んでいる。同作の著者でノンフィクション作家の高野秀行さんのポリシーは「誰も行かないところへ行き、誰もやらないことをし、誰も書かない本を書く」。そんな高野さんのエッセンスが詰まった作品『世にも奇妙なマラソン大会』(集英社文庫/2014年4月)から、表題作の一部を抜粋して紹介する。 ある日、インターネットで見つけた「サハラ砂漠のマラソン大会」に、深夜の酔ったテンションで申し込んだ著者。“15キロ以上走ったことがない”初心者ランナーの闘いが始まった――(全2回の1回目/#2へ)