中近東の政権は、みんな正統性というアキレス腱を抱えている。 例えばレバノンは、各宗派が人口に応じて大統領、首相、国会議長といった役職を分け合っているが、かつて最も人口が多かったマロン派キリスト教徒とスンニ派のイスラム教徒の人口は既に逆転したと見られている。しかし、レバノンではこの数十年、国勢調査が行われていないため、役職の割り振りの見直しは行われていない。 シリアは、人口の約一割のアラウィ派出身のアサド大統領とアラウィ派が多数を占めるスンニ派他の民族を力で押さえつけている。 バーレーンでは、スンニ派の首長がシーア派が多数を占める国民を統治している。 サウジアラビアは、イスラムの中でも最も厳格なワッハーブ派を国教としているのに親米路線を取っていることに対して、宗教的な保守派から王家が批判されている。 ヨルダンは、伝統あるハシム家を王に抱くが、かつてパレスチナ難民が大量に流入し、ヨルダンを優先