● 中国の知的財産権問題に 火をつけた「視覚中国事件」 「視覚中国」が地雷を踏んだ――。 これは約2週間前、私があるニュースを読んだときの素直な感想だ。 視覚中国(Visual China Group)とは、中国のあるビジュアルコンテンツサービスを提供する会社だ。わかりやすく言えば、写真などのコンテンツの使用権を販売するビジネスを行う専門会社で、日本でもよく見られる業態である。すでに上場していることからも、経営状況は悪くないようだ。順風満帆にやってきたかのように見えるこの会社は、4月中旬、突然「自爆」したかのような事件を巻き起こした。 事件の導火線は、1枚の写真だった。 日本、アメリカ、ヨーロッパ各国の約200人の天文科学者からなる研究チームは、共同で銀河にある巨大なブラックホールの姿を捉えることに成功し、4月10日、その写真を無料で公開した。この史上初の快挙に、世界各国のメディアが注目し