JX日鉱日石エネルギー水島製油所の海中トンネル事故で冠水した現場付近(上)。(下)は海中トンネルの出口がある工場=7日午後3時15分、岡山県倉敷市(本社ヘリから) 岡山県倉敷市の海底トンネルで7日、5人が不明になった事故は、約1年半前に合併してできた日本の石油元売最大手の事業効率化に伴う工事で起きた惨事だった。突然噴き出した海水は直径11メートル、深さ約30メートルの巨大な立て坑から瞬く間にあふれ出し、駆けつけた消防隊員はなすすべもなく立ち尽くすしかなかった。 「危ない。逃げろ!」 午後0時半ごろ、海底トンネルに現場責任者の叫び声が響き渡った。この声を聞いた作業員、角井(かくい)健次さん(61)は必死に逃げようとしたが、あっという間に海水に襲われた。 しかし、いた場所が偶然、立て坑の底だったことから、らせん状の非常階段を駆け登って脱出、命拾いしたという。現場責任者の行方は分かっていない。