原子力安全委員会が原発事故に備えた防災対策重点地域の拡大を検討していた平成18年5月、安全委と経済産業省原子力安全・保安院の幹部が出席した昼食会で、保安院長だった広瀬研吉氏が「なぜ寝た子を起こすのか」と安全委側に検討中止を要請していたことが16日、分かった。出席した安全委の久住静代委員が証言した。 国際的な基準に合わせようとしていた安全委側に、保安院のトップが直接中止を働き掛けたという。 広瀬氏は、東京電力福島第1原発事故後に内閣府参与に就任、政府に対策を助言した。久住委員によると、昼食会は保安院側の申し出で安全委の委員長室で開催された。 広瀬氏は、平成11年の東海村臨界事故後、原子力防災体制を整えてきたと説明。「既に原子力防災の態勢は整い、国民も落ち着いている。なぜ寝た子を起こすのか」と安全委側に詰め寄ったという。