忘れられたバンクーバーの慰霊碑(1/8) 連日、熱戦がくりひろげられたカナダのバンクーバー冬季五輪が閉会した。日本人はこぞって、日本人選手の健闘を手に汗して称えた。 だが、この「平和の祭典」の舞台で、同じ日本人がかつて、生命(いのち)を懸けたもう一つの“物語”があったことを知る人は少ないようだ。 バンクーバーの代表的な公園スタンレーパークに、一種奇妙な記念碑が建っている。「日本人義勇軍戦没者慰霊碑」とでも訳せばいいのだろうか。碑文は、英語でつづられていた。 この碑については、多少の噺(はなし)がある。ここにいう戦没者は、約70年前の第2次世界大戦の戦死者ではない。その前の第1次世界大戦のおり、日本の大正4年(1915)にあたる年の11月、「加奈陀(カナダ)日本人同胞の権利獲得と名誉のために」をスローガンに、募集された義勇兵に応募し、カナダ軍に身を投じて、連合軍側の一員として戦った日本