原発の安全研究に取り組む独立行政法人「原子力安全基盤機構(JNES)」が平成19年以降、津波被害を想定した研究報告をまとめていたにもかかわらず、所管する経済産業省や東京電力が具対策を講じていなかったことが30日、分かった。東電福島第1原発の事故は、ほぼ研究報告通りの展開をたどっており、国や東電が「想定外」と主張する津波の波高についても想定。15メートル超の津波を受けた場合の炉心損傷確率を「ほぼ100%」としていた。 「わが国の原発は、いずれも海岸線に設置されており、地震発生に伴い津波が到来した際には、原発に対して何らかの影響を及ぼし、炉心損傷が発生する可能性が考えられる」 JNESが20年8月にまとめた報告書には、津波被害の項目の冒頭にこう記され、福島第1原発で起きた津波被害を起因とする炉心損傷の可能性を明確に指摘していた。 東電によると、福島第1原発は、津波の影響で、タービン建屋の地下に