自然の大きな力に、人類が抵抗することは難しい。いわんや自然を思いのままにコントロールすることなど、どうしてできようか? ナショナル ジオグラフィックの書籍『世界の果てのありえない場所』には、自然の猛威によって消えた街、あるいは人類の浅はかな行動によって失われた村など、廃墟と化した土地の数々が登場する。今回はその中から、「ホーランド島」と「ムイナク」を紹介しよう。 海に沈んだ漁業の島 チェサピーク湾は、米国はメリーランド州のハバードグラスからバージニア州のノーフォークまで、322キロにわたって細長く広がる河口域だ。湾内の大部分は水深が浅いが、それでも最深部は18メートルほどある。 問題は、この100年間に潮位の上昇と沿岸の浸食が進んだこと。以前は陸続き同然に行き来できたはずの場所が、そうではなくなってしまったのだ。メリーランド州のあちこちに壊滅的な問題を引き起こすようになった。 ホーランド島