今から約15年前の2004年1月から2年半に渡り、陸上自衛隊はイラク南部サマワで人道復興支援活動に従事した。憲法9条に抵触するとの指摘もあり、国論を二分する大論争の末、「国際貢献」のために小泉純一郎政権が実施した「史上初の戦地派遣」だった。陸自を悩ませたのは、イスラム教シーア派の反米指導者サドル師を信奉する民兵組織「マハディ軍」だ。陸自を占領軍とみなし、宿営地を狙った砲撃や、陸自の車列を狙った爆弾攻撃を重ねた。学校や病院を修復し、飲料水を提供する陸自をなぜ敵視したのか。私は当時、共同通信カイロ支局員として陸自の活動を報道していたのだが、治安上の理由でサマワでの現地取材は04年3月が最後となった。この4月、約15年ぶりにサマワを再訪し、マハディ軍の元兵士たちに会うことができた。彼らは驚くほど率直に日本への敬意を語り、「米国に協力するため派遣された軍」は攻撃するしかなかったと証言した。(敬称略
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