クリックして拡大する高速鉄道事故の遺族(手前)を取材する中国メディアの記者たち。当局の通達にもかかわらず、多くの記者が独自取材を続け、記者魂をみせた=7月27日、中国浙江省の温州南駅(共同) 中国浙江省温州で7月23日に起きた高速鉄道の追突事故に関する中国メディアの報道は、“異変”が起きている。 共産党中央宣伝部(中宣部)が再三にわたって報道規制の通達を出したにもかかわらず、鉄道省の対応を批判し事故の真相究明を求める記事がなかなか消えず、多くの国民がインターネットで抵抗するメディアに拍手喝采を送る、これまでにない展開となった。メディアを操縦し世論をコントロールする共産党政権の長年の手法はついに限界に来たのか。今回の事故をめぐり、中宣部とメディアの激しい攻防の裏側を伝える。 中宣部の油断 「中宣部の担当者は当初、今回の事故の影響を過小批評し、最初の対応を誤ったため報道がこんなに大きくなった」