神戸女学院を紹介している本の「あとがき」にこんなことを書いた。中高部のPRのための本なのでふつうの人はあまり手に取ることがないと思うので、ここに再録しておく。 神戸女学院時代の同僚たちと毎年スキー旅行に来ている。91年の春に着任一年目のシーズンに先輩たちに誘われて来てからだから今年で25回目になる。私は高校一年生のときから半世紀にわたってスキーをしてきた。本邦における「スキー文化」の消長を砂かぶりで眺めてきた。そして、ほんとうに風景が変わった、と思う。 一番変わったのは、若者がゲレンデにいないということである。レストランに入って、辺りを見回してもほとんど中高年者と外国人しか目に入らない。高齢化・インバウンド依存がこのまま推移すれば、いずれ高齢者たちが退場したときに大正時代にヨーロッパから扶植されて発展してきた「日本のスキー文化」それ自体が消滅することになる。百年以上の歴史を持つ、近代日本を