ブックマーク / call-of-history.com (9)

  • 「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    ヨーロッパの中世を「暗黒時代」、すなわち「暴力と狂信と無知と停滞の時代」とする見方はすでに否定されている。確かに絶え間なく続く戦争と、キリスト教的世界観の浸透と、ローマ教会の支配が築かれ、ギリシア・ローマ時代の知識が少なからず一時的ながら失われた時代ではあったけれども、後に近代を切り開く土台となる様々な技術のささやかながら着実な革新が繰り返された、ゆっくりと着実な進歩の時代であった。その中世ヨーロッパのテクノロジーとイノベーションはどのようなものであったのか、緩やかな技術革命の千年を振り返る一冊である。 別に中世ヨーロッパが栄光の時代であったとか、産業革命に比肩する技術進歩の時代だったなどと言う訳ではなく、ただただ、後進地であったヨーロッパで中世の千年間で起きていた地道な技術的革新の歩みを描いているに過ぎないが、そこにドラマがあり、面白さがある。ジャレッド・ダイアモンドとかウィリアム・H・

    「大聖堂・製鉄・水車―中世ヨーロッパのテクノロジー」 | Call of History ー歴史の呼び声ー
    tkysktmt
    tkysktmt 2019/02/17
    “ジャレッド・ダイアモンドとかウィリアム・H・マクニールとか好きな人なら文庫サイズという手軽さもあってまぁ間違いなく夢中で読んでしまうと思うし、現に僕は時間を忘れて貪り読んでしまった”
  • 「神聖ローマ帝国 1495‐1806 (ヨーロッパ史入門)」ピーター・H・ ウィルスン 著

    「神聖ローマ帝国」は実に茫洋としている。ヴォルテールが評した有名な「神聖でもなければ、ローマ的でもなく、そもそも帝国でもない」という言葉の強い印象もあって、とらえどころがないイメージをさらに強くする。欧州史を調べていても、そのときどきの神聖ローマ帝国にまつわる様々な事件については理解できても、なんとなく「神聖ローマ帝国」そのものについてはあまり理解できているとはいえない。 それはドイツの研究史でも同様なようで、どうしてもプロイセン中心史観が長く歴史学の主流であったため、神聖ローマ帝国の時代を断片的な支配力と政治権力の分散によって国家統一を遅らせた停滞の時代という捉え方がされがちだった。戦後、このような捉え方は大きく見直されて実証的な研究が進んだが、それでも神聖ローマ帝国について十分に研究されてきたとは言えないようだ。しかし、現時点で明らかになっている「神聖ローマ帝国」とは何だったのか?

    「神聖ローマ帝国 1495‐1806 (ヨーロッパ史入門)」ピーター・H・ ウィルスン 著
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/08/31
  • 琉球王国の興隆と衰退を中心に十六世紀東アジア貿易と島津-琉球外交略史 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    別のテーマで書いていた記事の話のまくらとして琉球王国の興隆と衰退、琉球と島津氏の外交について五百~千文字ぐらいの気分で略史をまとめていたらやたら長くなったので個別記事として切り出してみる。 琉球王国は長く三国鼎立状態にあった沖縄島を一地方豪族から身を起こして一代で統一した尚巴志とその父尚思紹に始まる。尚巴志は統一戦争の過程で父尚思紹を王位につけ(1406年)、父の死後の1429年、沖縄島を統一(第一尚氏王朝)。しかし、尚巴志王の死後政権が安定せず、1469年、重臣金丸が王位を簒奪、尚円王を名乗り、第二尚氏王朝が成立した。以後、十五世紀末から十六世紀前半にかけて全盛期を迎え、島津氏の琉球出兵(1609年)を経て、1879年に日に併合(「琉球処分」)されるまで第二尚氏王朝が存続する。 琉球王国の隆盛は海禁政策下にあった明国の冊封体制に入ることで明と東アジア諸国とをつなぐ中継貿易によっても

    琉球王国の興隆と衰退を中心に十六世紀東アジア貿易と島津-琉球外交略史 | Call of History ー歴史の呼び声ー
  • 「安倍晴明伝説 (ちくま新書)」諏訪 春雄 著

    陰陽師安倍晴明というと、様々な伝説に彩られた日史上のスターの一人である。死後の平安時代後期から様々な伝承が語られ始め、現代でも小説映画、マンガなど様々な創作作品に登場して人を魅きつけている。僕は丁度世代的に八十年代後半、荒俣宏の「帝都物語」で知り夢枕獏の「陰陽師」や菊池秀行作品など伝記小説で認識した感じだ。 実在の安倍晴明は様々な伝承や創作で語られるような呪術妖術に長けた超能力者ではなく、地味な、しかし政治力に長けた遅咲きの官僚である。平安時代、中国から伝わった陰陽五行思想や道教・密教、修験道などを総合して登場した陰陽道を統括する部署として陰陽寮という組織があった。晴明も陰陽寮に所属していたが陰陽道の能力的にもそれほど秀でていたわけではなく、長らく出世コースから外れていたらしい。彼が歴史の表舞台に登場するのは四十代に入ってからで、丁度藤原道長が権力を掌握していく過程で藤原氏や花山・一条

    「安倍晴明伝説 (ちくま新書)」諏訪 春雄 著
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/07/23
  • 日本で初めて反射望遠鏡を作った鉄砲鍛冶「国友一貫斎」

    第一章 江戸の貨幣経済と知識人の台頭、蘭学の登場十七世紀、戦国乱世の終結による政治的安定は人口増大と経済成長を促した。貨幣経済・商品経済の浸透は競争を喚起し、農民層の分解と格差の拡大、新たな都市富裕層の登場を促す。『俗姓筋目にもかまはず、只金銀が町人の氏系図になるぞかし。』(井原西鶴「日永代蔵」)と、旧来の身分制度に変わりカネが全ての世の中の到来だ。元禄時代の豪商河村瑞賢は「金銀が天下を馳駆する」と語った。それは同時に、自身の知恵と才覚によって成り上がる世の中でもある。伝統的な紐帯の弱体化は多くの人々を不安にする一方で、人々に独立の気風を与え、学ぶ意欲を大いに促す。 十八世紀に入ると、幕政の行き詰まり、貨幣経済のさらなる進展、飢饉や疫病などによる社会秩序の動揺はより加速、流動化する社会を背景として、新たに登場してきた知識人層はまず漢詩や狂歌などの文化芸術の世界に興味を持ちはじめて三々五々

    tkysktmt
    tkysktmt 2014/07/14
  • 「江戸の読書会 会読の思想史」前田 勉 著

    読書というのは孤独な営みであり、孤独な愉しみである。そんな読書観は実は新しいものだ。欧州では読書は黙読ではなく音読が主流であり、近世には読書グループが次々と形成されて、それがブルジョワ階級の勃興と対をなしていた。日ではどうか?江戸時代、漢詩人江村北海(1713-88)は欧州と同じく音読と黙読どちらがいいか、という問いに続けて、「書ヲヨムニ、我独リ読ムガヨキカ、人ト共ニヨミテ、世ニイフ会読スルガヨキヤト問人アリ」と書いているという。 江戸時代、読書の主流となっていたのは「会読」と呼ばれる『定期的に集まって、複数の参加者があらかじめ決めておいた一冊のテキストを、討論しながら読み合う共同読書の方法』(P12)であった。その会読はどのように始まり、どのように廃れていったのか、また会読が与えた影響の大きさについて、近世思想史を概観しつつ、江戸の儒学・蘭学・国学から幕末の思想家たち、明治の自由民権運

    「江戸の読書会 会読の思想史」前田 勉 著
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/07/04
  • 「チーズと文明」ポール・キンステッド 著

    人類の歴史はチーズとともにあった。 紀元前七〇〇〇年頃、農耕牧畜の進展によって家畜から取れるミルクを豊富に生産できるようになり、さらにミルクを保存し、凝固させることが可能となる陶磁器製の容器が登場、西部アナトリアから肥沃な三日月地帯にかけての一帯でチーズ製造が始まった。 当時、ミルクに含まれるラクトース(乳糖)を消化するために必要なラクターゼを作ることができるのは乳幼児だけだったため、成人はミルクを飲むとお腹を壊してしまい飲むことが出来ない。一方でチーズは製造過程でラクトースが発酵し乳酸に変わるか、乳漿(ホェイ)とともに取り除かれるため、成人でもミルクの栄養を摂取することができる。そのような点でチーズ(とバター)は当時の人類にとって重要な栄養源であった。紀元前五五〇〇年頃以降、成人でもラクターゼを作る能力を遺伝的に持つようになり、現在では人類の多くがラクトース耐性を持っている。 チーズ製造

    「チーズと文明」ポール・キンステッド 著
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/06/18
  • 「エネルギーの科学史」小山 慶太 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー

    近代科学の歴史は、「エネルギー」の探究とともにあった。森羅万象、『ヒトも星も宇宙も物理反応と化学反応にもとづく”変化”の所産であり、”変化”を引きおこす実体こそが”エネルギー”』(P7)であった。その「エネルギー」は近代科学の確立の過程でドラスティックに指し示す内容を変えつつ、幅広い概念として成立してきた。 書では十九世紀末の放射能の発見を画期としつつ、それ以前の熱エネルギー、電気エネルギー研究を通しての古典物理学時代のエネルギーから、放射能と原子核の発見以後の核エネルギー研究を端緒として反物質エネルギーや暗黒エネルギーなどに至る物理学を中心としたエネルギーの科学史の大きな流れを俯瞰しつつ描かれる。 僕のような科学に無知な者でもすらすらと読めるように丁寧かつわかりやすく説明されているだけではなく、様々な科学者の興味深いエピソードを丁寧に掘り下げつつ関連した雑学的話題も豊富で、科学を知るこ

    「エネルギーの科学史」小山 慶太 著 | Call of History ー歴史の呼び声ー
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/06/12
    面白そうな
  • 十六~十七世紀、海を渡った日本人~倭寇、奴隷、傭兵、朱印船、キリシタン | Call of History ー歴史の呼び声ー

    十六世紀から十七世紀、戦国時代中期から江戸時代初期にかけて、多くの日人が海を渡り、東南アジアから東シナ海にかけて様々な活動を行った。海を渡った日人はどのような人々だったか、大きく(1)倭寇(2)武士・雑兵(傭兵・奴隷)(3) 商人・労働者(4) キリシタンの四つに分けられる。もちろん、分けられると言ってもその境目は厳密ではない。むしろ、その重なり合っている様がまた時代性を表してもいる。 (1)倭寇倭寇とは何か倭寇の活動は大きく二期に分けられる。前期は高麗で史料上倭寇という言葉が頻出しはじめる1350年ごろから十五世紀末にかけての時期で、1375年ごろから活動が頂点に達し、朝鮮半島沿岸を襲い、略奪・殺戮を繰り返した。最盛期には300~500艘の船団を形成し、千数百の騎馬隊と数千人の歩兵を乗せ女性や子どもを伴っていたという。1419年、倭寇の根拠地となっていた対馬に李氏朝鮮が大規模な討伐軍

    十六~十七世紀、海を渡った日本人~倭寇、奴隷、傭兵、朱印船、キリシタン | Call of History ー歴史の呼び声ー
    tkysktmt
    tkysktmt 2014/06/09
  • 1