駆け出し記者時代、先輩記者からこう教えられた。 「犬が人間にかみついて軽傷を負ったところで、大ニュースにはならないが、人間が犬にかみついたら、場合によって面白い記事になるかもしれない」 韓国内でバレてしまった真相は、この教えの範疇(はんちゅう)にあった。何しろ、警察官が違法操業していた漁師を取り締まろうとして、逆に返り討ちに遭ってしまったのだから。「人間が犬にかみつく」 事の起こりは昨年11月19日。韓国・済州海洋警察署の巡視船が済州島北方海域で、韓国領海を侵犯し、違法操業中だった中国漁船40隻を確認した。巡視船は底引き網漁船(190トン)を拿捕(だほ)、中国人漁師6人を逮捕した。漁船には海洋警察官10人が乗り込み、船長に済州港まで船を移動するよう指示した。 と、ここまでは「犬が人間にかみついた」式の、いたって普通の展開だった。ところが、ここからが「人間が犬にかみつく」展開と相成る。 仲間