<観光客の数ばかり重視した対応から、節度と品格を守る健全な産業へ変革する方法とは? 本誌「ポストコロナを生き抜く 日本への提言」特集より> 中国では、2000年以上前から「錬丹術」が存在していた。辰砂(しんしゃ)などから水銀やヒ素を錬成し、それらを含む「金丹」を飲むことで不老不死の仙人になると信じられていた。実際は水銀とヒ素は猛毒物質で、飲んだ人は苦しみながら毒死する。 しかし、死後に毒が身体中に回って死体の腐敗を遅らせる。この時間差を不老不死と思い込み、錬丹術の流行はさらに拍車が掛かり、数え切れない人々が毒死したという。死体が腐ってないから仙人だ、という人々の錯覚は、猛毒の薬を「霊薬」と勘違いさせるようになった。 現在、新型コロナウイルスで大きな被害を受けている日本の観光業でも同様の連鎖が生じる恐れがある。初めに、インバウンド観光は日本にとって極めて重要だと強調しておきたい。そこから得ら
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