政府が主導する働き方改革の影響で変わりつつある日本の労働環境。先進的な取り組みを進める企業もある一方で、長時間労働など古い慣習が残る職場も多いのが現状です。そんな日本の働き方に警鐘を鳴らすのは、ライフネット生命保険の創業者で、立命館アジア太平洋大学(APU)学長の出口治明氏。2019年、初めて時間外労働の上限が法律で定められた背景には、日本の国際競争力の低下があると出口氏は述べます。企業が成長するために必要な働く人の意識改革や、生産性を高めるためのヒントについて聞きました。 世界経済から後れを取る日本企業 日本女性の社会的地位は先進国で最下位―出口さんは、世界における日本経済の現状をどうとらえていますか? 今、日本の国際競争力はどんどん下がっています。IMD調べでは、平成元年の1位から30位(2019年)まで落ちました。また、かつて日本は製造業を中心に経済成長をしてきて、世界一になりました