ナチ党(国民社会主義ドイツ労働者党)政権は、資産家に厳しく、庶民には実際の利益をもたらしたために、広範な支持を得たという説がよく唱えられる。しかし、歴史学者のマルク・ブッゲルンは、最近の論文でこの説に反論した。当時のドイツの再分配政策は他国と大きく変わらず、むしろ格差が広がったことがわかるという。 独誌「シュピーゲル」がブッゲルンに、ナチス・ドイツにおける平等という幻想について聞いた。 ナチスは「他国より再分配を徹底した」のか? ──ブッゲルンさんは最近の論文で、第二次世界大戦中のナチスの租税政策を、英国や米国の政策と比較していました。その目的はなんですか。 比較することによって、どの程度ヒトラーが富裕層から貧困層への再分配を強制していたか、整理することができます。 たしかに、ドイツの事例のみを観察すると、ナチ政権が社会における不平等に対処しようとしていたという印象を受けます。第二次世界大
![歴史学者が検証「ヒトラーの恩恵を受けたのは庶民ではなかった」 | 「大衆を優遇して支持された」説に反論](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/c898ec18d000b76890bf9e71096a17b6d6ef5235/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fcourrier.jp%2Fmedia%2F2023%2F10%2F10184412%2Fbf3654b896ba2b06cc317918c8430cc7.jpg)