神聖喜劇〈第1巻〉 (光文社文庫) 作者:大西 巨人 光文社 Amazon ★★★★★ 1942年。新聞記者の東堂太郎が補充兵として対馬に招集される。彼は超人的な記憶力と持ち前の論理によって、軍隊内の様々な不条理に抵抗する。東堂は学生時代に社会主義活動の疑いをかけられて逮捕され、九州帝大法学部を中退していた。彼は同年兵の冬木と友情で結ばれる一方、軍曹の大前田に目をつけられる。 「止めて下さい。誰にも許されていません、そんなことをするのは。」 むろん、まるきり私は、そういう事態の発生を予想も予期もしなかったのであったが、私の絶叫とほぼ同時に、さながら山彦のように、もう一つの絶叫が、私の左後方で上がったのである。 「止めて下さい。人のいのちを玩具にするのは、止めて下さい。」(vol.5 p.209) ハードカバーで読んだ。引用もそこから。 これはすごかった。風刺文学とか戦争文学とか、本作をひと