大団円に向けての段取り感 TV版の最終2話や「気持ち悪い」で終わった夏エヴァ、シンジがみんなの制止を聞かずに暴走して世界がとんでもないことになった『Q』と比べ、『シン・』の終わりは、表現的にも各キャラの心情的にも穏当、微温的である。これが乗れなかった理由のふたつめだ。 「そいつとそいつが? え?」的な驚きはあるが、逆に言えばそういう驚きしかない。過去作にあった「どう受けとめていいのかわからないが、とにかくすごいものを観てしまった」という体験は『シン・』にはない。 とんでもなくよくできたエンターテインメント・アニメだが、先ほど指摘した既視感もあって、大団円に着地するための「段取り」を延々見せられているような――知人の結婚式に出席したときのような祝福と退屈さが入り交じった――気持ちになってしまった。