2025年12月31日。放送100年という巨大な節目を迎えた「第76回NHK紅白歌合戦」を観終えて、何とも言えない奇妙な感覚に包まれている。 かつて、紅白は「答え合わせ」の場所だった。 その年に誰もが口ずさんだ流行歌を再確認し、世代を超えて「ああ、今年はこういう年だったね」と頷き合う、国民的な儀式。しかし、今夜のステージから伝わってきたのは、そうした「共有された物語」の終焉だったように思う。 断絶したまま共存する 今回の紅白が提示したのは、融和ではなく「徹底的な個別化」だった。 放送100年を記念した堺正章や南沙織といったレジェンドたちの登場は、テレビが「王様」だった時代のオーラを放っていた。一方で、Number_iやtuki.、そしてFRUITS ZIPPERといった面々が並ぶステージは、完全にスマホの画面越しに最適化された、新しい時代のスピード感で動いている。 かつての紅白なら、これら

