「戦没者を悼むのは当然のことですが、『戦禍に倒れた人たちの尊い犠牲の上に今の日本の平和と繁栄があることに思いを致す』と総括するだけでは、戦争当事国として無責任ではないでしょうか。他国の被害者にも思いを馳せ、反省と謝罪を続けなければ、不戦の誓いも空虚に響くだけです。過去の反省なくして未来を切り開くことなどできません。安倍首相は『歴史と謙虚に向き合う』と口では言いますが、原稿を棒読みしているだけで、まったく心がこもっていない。日本が加害者だったという意識はないのでしょう。侵略ではなく自衛のための戦争だったと本気で信じているのだと思う。歴史に正しく向き合い過去に学ぶ気持ちがないから、隣国に対して居丈高に拳を振り上げる。失政を隠すために外に敵をつくるのは権力者の常套手段ですが、悲惨な戦争の記憶が薄れた国民もそれに安易に乗っかってしまう。非常に危険な最近の風潮です」(政治評論家・本澤二郎氏)