「貧すれば鈍する」――これほどいまの政治状況を表した言葉はないようだ。たとえば、排外主義の台頭は、没落したミドルクラスやアンダークラスの「彼らなりの階級闘争」だと説明される。それにたいする唯一の処方箋は、欧州左派が掲げるリフレ派経済政策であり、それがまさにアベノミクスなのだとこれまたよく指摘される。日本では右派政権が左派的な経済政策を採用するねじれがある、とこの連載でも紹介してきた。が、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(北田暁大、ブレイディみかこ、松尾匡、亜紀書房、5月)を読んで、「財政出動+金融緩和」はナショナリズムと相性が良い経済政策だと考えをあらためた。 前回紹介したシュトレークの言い方を借りれば、トランプ大統領の誕生は、民主主義と資本主義(=自由主義)の「結婚」の破綻を示すものだ。しかもアメリカは、「民主化、人権、民族自決、集団安全保障、国際法、そして国際機構」をすすめる「ウィル
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