ブックマーク / dokushojin.com (4)

  • 衣食足りても礼節を知らない  反緊縮運動とナショナリズム|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    「貧すれば鈍する」――これほどいまの政治状況を表した言葉はないようだ。たとえば、排外主義の台頭は、没落したミドルクラスやアンダークラスの「彼らなりの階級闘争」だと説明される。それにたいする唯一の処方箋は、欧州左派が掲げるリフレ派経済政策であり、それがまさにアベノミクスなのだとこれまたよく指摘される。日では右派政権が左派的な経済政策を採用するねじれがある、とこの連載でも紹介してきた。が、『そろそろ左派は〈経済〉を語ろう』(北田暁大、ブレイディみかこ、松尾匡、亜紀書房、5月)を読んで、「財政出動+金融緩和」はナショナリズムと相性が良い経済政策だと考えをあらためた。 前回紹介したシュトレークの言い方を借りれば、トランプ大統領の誕生は、民主主義と資主義(=自由主義)の「結婚」の破綻を示すものだ。しかもアメリカは、「民主化、人権、民族自決、集団安全保障、国際法、そして国際機構」をすすめる「ウィル

    衣食足りても礼節を知らない  反緊縮運動とナショナリズム|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
    toraba
    toraba 2018/06/14
    「ナショナリズムに依拠した運動が限定的な効果しかもたないことは、資本がその性質上最も国際連帯していることからも明らかだろう」租税回避は正義ってこと?https://youtu.be/1DErfYEACvY?t=1529
  • 「右」に侵食される「左」  安倍政権という「あいまいなリベラル」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    数年前、日会議が話題になったとき、ひとびとは巨大な「右」の組織があることに驚いた。しかし当に驚くべきだったのは、日会議が地道な草の根の運動をしていたことだった。地方議会への働きかけ、署名集めといった運動は、かつてならば「左」の運動だった。日会議はいわば敵の運動から学んだわけだ。 多くのひとは安倍内閣を「右」だと思っているが、そう単純にいいきれない。「右」が「左」の戦略や政策を学び、実践している現状があるからだ。 ブレイディみかこと北田暁大の往復書簡「左派は経世済民を語りうるか」(『中央公論』1月)が示すのは、アメリカや英国の反緊縮がサンダースやコービンといった「左」によって訴えられ支持を集めたのにたいして、日の反緊縮がアベノミクスだということだ。「左」は経済成長を嫌い、反アベノミクスを唱えるが、いま求められるのは「アベノミクスを超えた包括的な経済思想」(北田)だという。 ならば、

    「右」に侵食される「左」  安倍政権という「あいまいなリベラル」|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
    toraba
    toraba 2018/01/09
  • 民主主義(デモクラシー)の曲がり角で、今 『ポピュリズムとは何か』×『保守主義とは何か』(共に中央公論新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    宇野 重規 / 東京大学社会科学研究所教授 / 1996年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了、博士(法学)。 千葉大学法経学部助教授、東京大学社会科学研究所助教授、同准教授を経て現職。 「ポピュリズム」は最近の時勢を語るキーワードの一つで、様々な言説の中で頻繁に用いられています。しかし用い方は、かなり曖昧で、せっかくの議論も噛みあわないこともある。同じことを「保守主義」についても感じています。時代の流れの中で、来の定義から変質してきているところはあるでしょうが、改めて過去の政治運動の流れや、思想対立の状況を押さえることは、現代に対する示唆を得る、一つの方法だと思うのです。 デモクラシーが大きな曲がり角を迎えている時代ですよね。私は二〇一二年に『反転する福祉国家』という、オランダから欧州の福祉改革と移民排除の論理を分析するを出しました。オランダという国は、安楽死にしろ、売春や同性

    民主主義(デモクラシー)の曲がり角で、今 『ポピュリズムとは何か』×『保守主義とは何か』(共に中央公論新社)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
  • ラングザマー世界文学でたどる旅 書評|イルマ・ラクーザ(共和国)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」

    書には、著者と交流のある作家、多和田葉子による「日常を離れた時間の流れの中で」というエッセイが付されている。文を読む前にこちらを読んだ評者は、そのなかの次のような一節にいたく共感した。「優れた小説を読んでいると、それぞれの単語や文章が様々な記憶や連想を呼び起こし、先へ読み進みたいという気持ちと比例して、その場にとどまり、もっと味わいたいという気持ちが強まる。すると時間は前方にではなく、深みに向かって進行し始める」。この一節を読んだ瞬間に、いくつかのテクストが数珠つなぎのように連想されてきて、早くも書の読書が中断されそうになった。言い換えれば、さっそく「ゆっくり」になり始めた――書の表題「ラングザマー」とは、ドイツ語で「ゆっくり」という意味である。それらのテクストとは、幼年時代の読書の記憶を、残りのページが少なくなったときの終わってほしくないという気持ちなどと共に語ったプルーストの「

    ラングザマー世界文学でたどる旅 書評|イルマ・ラクーザ(共和国)|書評専門紙「週刊読書人ウェブ」
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