そもそもなぜ、我われは「世界はどう報じたか」を気にしなければならないのだろうか? いきなりこの疑問からスタートしてみよう。本書のかなり早いあたりにその答えは示される。 勝った、負けたと一喜一憂するだけに留まっていたら、日本サッカーは伸びていかない。何も変わらないのである。 日本のサッカーは発展途上の途中で、まだ美学と呼べるようなサッカーのスタイルは残念ながら確立されていない。日本のスポーツ報道にも、同じく成長していくことが求められる。 だからまだ今は、外からの視点が必要だ(43ページ) 「美学」である。 この言葉は、「はじめに」の中にも出現する。 柔道の「一本で勝つ」という文化を見れば分かるように、日本は勝ちにこだわると同時に、どのように勝つかという美学やスタイルにも思いを巡らせることができる国のはずだ。 ならばサッカーにも、美学を求めるべきではないか。 ここに私は、「サッカーファン」と「