ニホンザルは苦味を感じるタンパク質を作る遺伝子が変異し、特定の苦味を感じにくくなっていることを京都大霊長類研究所(愛知県犬山市)と東京大、北京大のチームが突き止め、15日発表した。 ニホンザルは餌の少ない冬場に、ほかの霊長類は食べない苦味のあるヤナギの樹皮などを食べて生き延びている。 進化過程での遺伝子変異が採食行動に影響を与えているとみられ、チームの今井啓雄京大准教授(分子生物学)は「人間が苦味を感じ食べない物でも、健康によい物がある可能性がある。そんな食物を探し薬の材料に役立てたい」としている。 チームはヤナギの樹皮などに含まれる苦味成分サリシンを、主に舌で感じる受け皿となるタンパク質「TAS2R16」に着目し、ヒト、チンパンジー、サルの仲間のラングール、ニホンザルで比較した。研究成果は英王立協会の学会誌電子版に掲載された。