ベートーヴェンの交響曲第5番ハ短調が初演されたのは1808年のことである。冒頭の「ダダダダーン」というモチーフが有名で、標題音楽の代表作として通称「運命」と言われたりする。ベートーヴェン自身が「運命はかく扉を叩く」と言ったとされている。 と、思っていたのだけれど、最近の研究によると、これはどうやらベートーヴェンの秘書だったアントン・シンドラーによる捏造の可能性が高いそうだ。シンドラーは自身の著作 『ベートーヴェンの生涯』(1840)の記述に合うように資料を廃棄・改竄したらしい。これはひどい。 子供の頃、児童会館などで歴史や偉人伝を読み漁ったけれど、最近の偉人伝をみると僕の知っている「ベートーヴェン」とは異なる生涯が描かれているのかもしれない。研究者にとっては悲惨な出来事だっただろうが、今後のベートーヴェン研究とその解釈が楽しみではある。 しかし、アントン・シンドラーの場合はかなり悪質だけれ