「今の制度でまったく問題はないし、困ってもいません。なんであんな意見が出てくるのか、正直言って疑問です」 困惑したような声でそう話すのは、宮崎県でおよそ200頭の乳牛を飼う酪農家のIさんだ。まだ30代後半の若手で、搾った生乳は大手乳業メーカーの製品になるほか、県内の有力スーパーのPBミルク商品にも採用されている優良な生産者である。彼が「あんな意見」と話すのは、規制改革推進会議が検討を進めている、酪農のあり方に関する制度改革の答申だ。そこでは酪農家の所得向上や、ここ数年、よく話題になるバター不足の解消を目的とした改革が提案されようとしている。 同会議の答申を簡単にまとめると、「現状の制度では、多くの生産者が指定団体に営業や価格交渉などの販売業務を委託せざるを得ない。現状の指定生乳生産者団体制度の是非、現行の補給金の交付対象の在り方を検討する」と「バター等一部の乳製品は国家貿易で輸入されている